「こども家庭庁は、少子化対策だけをやっているわけではない」

——三原大臣は、少子化対策、特にお子さんを持ちたいと考えている方に対して、どのような取り組みを進めていくのでしょうか?

私は子宮頸がんを患い、流産も二度経験しました。私のように、子どもとの生活を望んでも恵まれない人がいます。これは、病気や身体的な問題だけでなく、仕事や環境など、さまざまな事情によるものもあると思います。

身体的な側面でいえば、不妊症や不育症の治療に対する支援も重要ですが、それ以前に、若い世代が正しい知識をできるだけ早く持つことが重要だと考えています。それは、性や体の仕組みを正しく学ぶということです。

近年、卵子凍結を選択する方も増えていますが、「何歳から不妊のリスクがあがると思いますか?」と問いかけると、大学生でさえ知らないケースが多いんですよ。

私はSNSで動画を配信していますが、自治体や民間企業と連携しながら、プレコンセプションケア(性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、健康管理を行うこと)を広く周知していくことを徹底していきたいと考えています。

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——2024年度の出生数は、厚生労働省の人口動態統計の速報値によれば、72万988人で過去最少と公表されました。これを受け、「出生数が上がらないならこども家庭庁はいらない」「解体すれば勤労者は10万7000円の減税になる(25年度予算7.3兆円を労働者の数で割った場合)」といった厳しい声もあがっています。

SNSなどではそのような意見が見られますが、その根拠がよく分かりません。こども家庭庁の予算は、すべて子どもたちのために使われるものであり、冒頭で述べた保育士給与の10.7%増額も、そこから賄われるものです。

こども家庭庁は、少子化対策だけをやっているわけではありません。「厚生労働省でやればいいのでは?」という意見もありますが、今までにできなかったことを、ひとつずつ深く掘り下げていくことで、政策として形づくることができるのです。今回の保育士の給与問題も、そうした取り組みのひとつです。

待機児童問題についても、一時期は多くの方から切実な声をいただきましたが、現在は大幅に改善しました。むしろ地方で空きのある施設が増え、今後は、地域の実情にあわせてどのように活用するか検討する時期にきています。

2023年4月1日に発足した「こども家庭庁」
2023年4月1日に発足した「こども家庭庁」

——未来ある子どもたちのために、今後も政策を進めてほしいところです。

ありがたいことに、大好きなゴルフにもしばらく行けていないほど、忙しくさせてもらっています。

社会全体が“子どもの育ち”を自分ごととして捉えられるような社会を実現するために、これからも視察を通じて現場の声や子どもたちの思いをしっかり受け止め、それを政策に反映させていきたいです。

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取材・文/山田千穂 撮影/村上庄吾