大臣就任から5か月。「とてもいいスタートを切れていると感じています」
——こども政策担当相として、心掛けていることを教えてください。
2022年に3度目の当選を果たした際、「こども政策を『こども家庭庁』で実現したい」と、ワンウィッシュとして訴えました。これは菅義偉総理の時代から考えていたことであり、実際に伝えてきました。
自民党の中で非常に弱い分野ですが、日本の未来を担うのは子どもたちです。だからこそ、子どもの気持ちを大切にしたいと考えています。
子どもや若者の意見を政策に反映させる取組として、小学1年生から参加することができる「こども若者★いけんぷらす」があります。
この仕組みでは、子どもや若者達が、こども家庭庁をはじめ各省庁が掲げたテーマについて、対面やアンケート等で意見を伝えることができます。
伝えていただいた意見には、施策の担当者がすべて目を通し、それぞれの担当でしっかり政策に反映させることを推進しています。小学1年生から20代の方であれば、どなたでも登録可能です。ぜひご登録のうえ、ご意見をお寄せいただければと思います。
——大臣に就任して5か月が経ちました。国民の厳しい声だけでなく、組織のしがらみなども見えてきたことで、やりづらさを感じる場面もあるのではないでしょうか。
そのようなことはありません。まだ数か月の段階で申し上げてよいのかわかりませんが、私はとてもいいスタートを切れていると感じています。そう思えるのは、多方面から職員が集まってくれているからです。
厚生労働省や文部科学省、内閣府等の役所以外にもNPO法人の子育て支援の現場の方、さらにはさまざまな自治体から、年齢や性別を問わず多様な人材が集まっており、多角的な視点で物事を捉え、アイデアを出すことができています。
——そうした人材が集まるのは、なぜだと考えていますか?
職員の出向をお願いしていることもありますが、来ていただいている職員との雰囲気づくりも大事だと感じており、私自身、職員から庁内で説明を受ける際、職員のところに足を運ぶことも多いですね(笑)。
相手が慣れ親しんだ環境のほうが、肩の力を抜いて話しやすいですし、より多くの方とコミュニケーションを取ることができます。そのため、「そちらでやりましょう」と私から出向くことで、距離が生まれないよう心がけています。
また、自治体や子育て支援に取り組む現場の方々との意見交換や、視察させていただいて現場の声を聞かせていただくこと等も重視しています。
——最近では地方へ出向き、女性起業家サロンの方と面会したり、多世代型アパートを視察したりといった活動もされています。
私はこども政策担当大臣であると同時に、女性活躍・男女共同参画担当大臣、共生・共助担当大臣でもあります。この3本の柱を同時に担当することで、少しずつ包括的に社会全体を底上げできると思っています。
たとえば、先日視察で伺った神奈川県・藤沢市の多世代型アパートでは、住人である高齢者と大学生が日常的にコミュニケーションを取れる仕掛けを作っていました。大学生は、家賃が半額なのだそうです。こうした仕掛けは、高齢者の孤立を防ぐだけでなく、大学生にとっても人生の先輩から知恵を授かる機会にもなる等、双方に大きなメリットがあります。
小中高生の自殺者数は増加し、若い世代の死因順位の第1位は自殺となっています。昨年の自殺件数は非常に衝撃的な数字であり、担当大臣として強い自責の念に駆られています(※令和6年の児童生徒の自殺者数の暫定値は527人)。
現代では、若者は1人で楽しむ時間を持ちやすい反面、1人で不安や悩みを抱えている人が増えているように感じます。
このアパートでは、入居をきっかけに、義務ではなく若者が自発的に高齢者のもとを訪れ、料理を教わったり、一緒に食事をしたり、カラオケに行ったりするなど、本当に楽しそうに過ごしていました。