「コメ農家減少の一番の原因は農政の失敗だと思っています」
こうした考えを持つ藤松さんが「令和の百姓一揆」に賛同するのは自然な流れだろう。
山形県の農家・菅野芳秀氏が代表をつとめる「一揆」はコメ農家の所得補償をはじめ、野菜、畜産、酪農も含めた農政の転換に向けての声を届けようと活動を始めた団体。
昨年の10月に発足し、発起人には元農水大臣の山田正彦氏も名を連ねている。藤松さんは「一揆」についてこう分析する。
「コメ農家減少の一番の原因は農政の失敗だと思っています。僕のところには定期的に5人ほどが学びに来ていますけど、やっぱり『コメ農家って食えるの?』って話になります。
僕が『一揆』に参加するようになったのは、去年の11月に山田元農水大臣の講演会に行ったことがきっかけでした。山田さんが『実は今、令和の百姓一揆をやろうと思っている。トラクター出せる人はいませんか』と言われたので『僕出します』って手を挙げたんです。
現状の農政では農家が減る要素しかない現状を周知し、世論を喚起できればというのが活動趣旨です。実行委員は農家だけでなく消費者や議員さんなんかもいて、全国で300人くらいいますよ」
3月末のデモは、東京・青山公園を出発して恵比寿、原宿、渋谷から代々木公園を回る予定だ。
「今のところトラクターが30台くらいと徒歩のデモ行進をします。本当は100台規模でやりたいんですけど、都内だとその場所がないみたいですね。僕にとってトラクターは神聖なものですから、しめ縄をして臨むつもりです。おにぎりの被り物をしたり、牛の着ぐるみ姿で来るって人もいます。
当日は沖縄、岐阜、山口など他県でも同時多発的にトラクターのデモ行進をする予定です。高いと言われる今のコメの価格って30年前のコメの価格水準と同等くらいですよ。これは国民が経済的にも疲弊してしまったということの表れだと思いますよ」
そう、国の無策は農政にとどまるわけではない。金科玉条のように緊縮財政を唱えて増税を繰り返し、30年以上かけて国民の生活水準をどん底に突き落とした財務省に対しては、全国で「解体」を叫ぶ大規模デモが連日起きている。
「一揆」がパフォーマンスでないことを肝に銘じない政治家や官僚は、イコール亡国の徒にほかならない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班