失敗した羊羹(ようかん)開発

食事がしにくい人を減らすこと、そして野菜不足を補うために当初ワンテーブルは乾燥化技術を活用し、野菜を粉砕して食物繊維が摂れる羊羹を開発しようと考えた。

しかし、野菜の菌が増殖しやすく、賞味期限のコントロールが困難だったため、この試みは断念せざるを得なかったという。

「『羊羹だと水が必要になるのでは?』と疑問を感じながら開発を進めましたが、結果として失敗しました。その経験から、水がなくても子どもや高齢者が食べられる最適なものは何かと考えたときに、ゼリーという答えにたどり着いたんです」(森川氏)

2015年に作られたゼリーの試作品第一号
2015年に作られたゼリーの試作品第一号

ゼリーにも菌が増殖しやすいという課題があったものの、研究を重ねた結果、レシピを調整することで発生を抑えられることが1〜2年のうちに判明。しかし、実際に5年間の賞味期限を保証するには長い年月が必要だったため、加速度検査を試みることになった。

加速度検査では、高温・高湿度の環境下で保存し、長期保存の影響を短期間で確認する。しかし、この検査ではゼリーが水に戻ってしまうという問題が発生した。そこでワンテーブルは365日×5年間、実際の環境で毎日観察する実測検査を実施。長い年月をかけて、長期保存の安定性を確認していった。

こうした試行錯誤の末、ついに常温保存で製造から6年の長期保存が可能な備蓄ゼリー「LIFE STOCK」が誕生したのだ。

ゼリータイプなので、硬いものが食べづらい子どもや高齢者でも食べやすいのが特徴。水や電気が使えないなど、ライフラインが止まる非常時にも役立つだろう
ゼリータイプなので、硬いものが食べづらい子どもや高齢者でも食べやすいのが特徴。水や電気が使えないなど、ライフラインが止まる非常時にも役立つだろう