圧倒的なスピード感で達成した新型コロナ対策

2019年に始まったコロナ問題で、台湾の対策の良さが印象に残っている人もいるかもしれません。ウイルスの特性も分からず、どういった対策をすればよいのか躊躇しているうちに、感染が広がり、各国ともパニック状態に陥りました。

ところが、台湾は新型コロナのなんたるかが分かる前に、圧倒的なスピードで対策を打ち出していったのです。

翌2020年の1月5日には専門家の会議を開き、1月20日には日本の厚生労働省にあたる衛生福利部が中央感染症指揮センターという委員会を開き、2月6日には中国との往来を封鎖しました。ここまでわずか1ヶ月。新型コロナの初動を巧みにやったことで世界的に高い評価を受けたのです。そのあたりは拙著『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』に詳しく書いています。

品切れが相次いだ使い切りマスク 写真/AC
品切れが相次いだ使い切りマスク 写真/AC
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このことは台湾の人々にも大きな自信を与えました。

台湾は「TAIWAN CAN HELP」というキャッチフレーズを作って、世界に対するマスク支援などを活発に行います。その台湾が国際機関、とくに世界保健機関(WHO)に入れていないこと、その背後に中国の反対があることに疑問が広がりました。

健康や衛生の問題は政治対立を超えるべきではないか、そんな当たり前の疑問が人々の間に共有されたのです。

私は台湾のコロナ対策の成功の背後に「失敗から学ぶ」という作業を地道にやった経験があると思っています。2003年に台湾で重症急性呼吸器症候群(SARS)が蔓延しました。

当時の陳水扁政権は対策が後手後手に回ったことで、84人の死者を出して国民からの非難を浴びることになります。この反省を活かし、同年に庁間の協力で迅速な伝染病防止対策を行える伝染症防治法を制定、国家衛生指揮センターを設立するなど、緊急危機対応のための整備を行ってきました。それが今回の対策に役立ったのです。

これは蔡英文政権だけの功績ではなく、台湾の人々が万が一に備える努力を重ねてきた結果でもありました。