「今のPTAは時代にマッチしていない」

保護者たちを悩ませているPTAと役員決めの問題。どこに問題の要因が隠れているのか。一般社団法人全国PTA連絡協議会の代表理事・長谷川浩章さんに話を聞いた。

「PTAの本来の目的は変わっていないと思います。ただ、前例踏襲と平等主義みたいなものが続いてきたことにより、目的を見失って形骸化し、意義が分かりにくくなった部分もあり、結果として今の時代にマッチしていないということが一番の問題だと思います。

本来PTAは、学校と保護者と地域が連携する形で、子どもたちのために活動していこうという趣旨で活動しています。それが今は、子どもたちのイベントを開くことだけが目的化してしまっている。

そのうえ、保護者自身が楽しいと感じられることも大切なのに、負担感を感じながら、嫌々何かのイベントの準備をしている親の背中を子どもたちが見ていたら悲しいでしょう。そういうところが変になってしまっているのではないかと思います」

写真はイメージです(PhotoACより)
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PTAの本来の目的は変わらないと話す長谷川さんだが、役員をやりたがらない親がいることについてSNSにあがる声は“一部分”だと言う。

「学校にもよりますが、会長や副会長など、実務の負担が多いので嫌がる方はいます。ただ、任期を終えると、会長をやってよかったという人も多いのも事実です。『自分たち自身にも学びがあり、保護者として成長できた』と。

たとえば、東京には公立小学校であれば1300校近くあり、地域差も大きいです。もちろん『やりたい人がいなくて決まらない』という学校もありますが、実際は、そういう学校は決して多くはない。それなのに、そういうところがメディアなどに取り上げられやすいのではないでしょうか」

写真はイメージです(PhotoACより)
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また、前述の“ポイント制”について問うと、そこには大きな矛盾があると指摘する。

「ポイント制は、ある意味平等に見えます。ですが、『平等に』というのは本来『子どもたちに対して平等に』ということなのに、意味を勘違いしてしまっている。PTAはボランティア活動なので、本来はやりたい人がやるべきですが、ポイントによる“強制”という形になってしまっています。

もう少し基本に立ち返って考えると、『なぜそんなに活動に人が必要なのか』という話になります。『今までこれでやってきたから』という、業務が硬直化しているような部分がある。

企業でさえITサービスを入れて業務を革新しているのに、なぜPTAだけが紙とかを使ったままなのか。そういうところで必要人数も減らせるし、そもそも必要ないことをやっているかもしれません。

写真はイメージです(PhotoACより)
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東京では少ないですが、地方では『学校の草刈り』などの活動も結構あります。そういう業務の見直しもしないまま、人が必要だと言っているのも問題です。

抜本的にPTAとして何をすべきかと考えた上で、必要な人数を算出する。そもそも担い手がいなければできないことは、やめればいいんです。

ただ、やめることが子どもたちにとって不利益だと思えば、また始めようという声があがるという事例もあります」