ピロリ菌感染で一度荒れた胃は元に戻らない
また、ペットを介してのピロリ菌感染も注意したいものです。
ペットの犬や猫に口をなめられることでも、ピロリ菌を有しているペットから感染してしまうこともあります。ペットとのキス写真をSNSにあげている人を時折見かけますが、気をつけたほうがいいでしょう。
胃がんは中高年の病気と思っている人は多いと思いますが、医療の現場では、若い人でもまれではないことがわかっています。その理由には、この意外なところでのピロリ菌感染があるのではないかと思います。
公的な胃がん検診は40歳からですが、若い人も胃がんの可能性はありますので、まずはピロリ菌の有無だけでも確認しておくと安心です。感染していた場合は除去し、その後は定期的に胃カメラ(上部内視鏡検査)を受けてほしいと思います。
胃がんの原因となるピロリ菌。このピロリ菌の発見によって、胃についての考え方は大きく変わりました。
特に昔は、胃が荒れていれば即「加齢ですね」と言われていたものです。ところが、それはピロリ菌のせいであって、加齢のせいではなかったのです。
実際、私が内視鏡で診ている印象でも、ピロリ菌の感染がない胃は、80歳過ぎの高齢の方でも比較的きれいです。一方で、30代であっても、ピロリ菌に感染している胃は荒れています。つまり、胃を荒らし、胃がんに至らせるのは、加齢ではなくピロリ菌だったというわけです。
ピロリ菌に感染するのは多くの場合若いときですが、ピロリ菌の感染によって一度荒れてしまった胃は、元には戻りません。
そういう意味では、ピロリ菌を除去すれば胃がんを防げると思うのは間違いです。しかし、ピロリ菌の除菌後に、またピロリ菌に感染することは、非常に少ないことがわかっていますから、善は急げです。少しでもはやく対処してほしいと思います。
何より大切なのは、極力早く、ピロリ菌に胃を荒らされないうちに感染を見つけ、除去すること。そして、一度ピロリ菌に感染して荒れてしまった胃は、年に一度の検査を怠らないことが重要です。
文/比企直樹 写真/shutterstock













