来場者も経済波及効果の主な源泉
─関西経済が、万博がらみの公共投資や来場者の消費を最大限取り込むには何が必要ですか。
来場者数を増やすことや、近隣の地域への延泊を促す仕掛けづくりはもちろん大切ですが、それ以外に、建設や観光客の受け入れに関して必要となる原材料やスタッフを、地元で調達する割合「域内調達率」を高めることも重要です。
─関西の産業界からは、万博にからむ利益の取りこぼしを懸念する声が出ています。
私は今回の万博が、関西の人々にとって、地元の魅力を再評価できる機会になればいいと思っています。それは、特産品や観光地としての地元の魅力を再評価する動きにもつながります。
一方で、関西の各自治体など行政機関は、万博で関西を訪れる観光客が日本ファン、関西ファンになり、将来のリピーターに育つよう力を注ぐ必要があります。現状の取り組みではまだまだ不足です。
経産省がはじく大阪・関西万博の経済波及効果は、万博協会の来場者予想(国内客2470万人と海外のインバウンド客350万人)をよりどころにする。万博協会は、国内客の6割強に当たる1560万人が、関西広域エリアから訪れると見込む。
しかし、近畿の2府4県に鳥取、徳島両県を加えた同エリアの総人口は2160万人で、おおむね4人に3人が訪れないと目標には達しない。協会は、一定数のリピーターに加え、小中高など学校行事で訪れる子どももいるとして、目標の達成は可能だという立場をとる。
ただ、こうした子どもの入場料が公費でまかなわれていることには留意が必要だ。
写真/shutterstock