モノを捨てると意識が一変する

なぜそれがあなたの理想の生活なのか。明確になったら片づけをはじめます。本当にときめくモノを残し、それ以外は捨てていく。

目指すのは「一気に、短期に、完璧に」です。今回取り組む、この片づけとはハレの日の特別な〝祭り〟のようなもの。めったにない貴重なイベントだととらえてください。

人生をガラッと一変させる革命のようなものです。何度も言いますが、片づけはあなたのなかに余白をつくる作業。片づけによってもう二度と戻らない理想の自分になる。そのための片づけです。

だから段階的にやるのではなく、とにかくスピーディーに終わらせるのがおすすめです。それこそ有限である時間を使うのだから、いち早く終わらせて本来の自分のやりたいことを思うぞんぶんやれる人生を味わう時間を増やしましょう。

「世界のこんまり」はいかに片づけに目覚めたのか?  夫・川原卓巳が明かす「一番最初に捨てるべきもの」_1

片づけを一気にやってしまうと、結局リバウンドしてしまう。やり切った反動ですぐにまた部屋にモノがあふれてしまう。だから少しずつ片づけの習慣を身につけていくのがいい。──そんな考えが世のなかではさながら「定説」のようになっています。

無理なダイエットをしても体重はすぐ元に戻ってしまう。片づけもそれと一緒でしょ?という発想です。でも本当にそうなのでしょうか。

その定説を覆したのが麻理恵さんです。

彼女は小学生のころから、お母さんが定期購読していた主婦向けの生活情報誌を読みあさっていました。そしてその雑誌から得た生活の知恵を実践してみるという「遊び」に明け暮れていたそうです。

使っていない電化製品のコードを手あたりしだい抜く「節電ゲーム」、お風呂や水栓トイレのタンクにペットボトルを入れる「節水ごっこ」といった具合です。

そんな彼女がいちばん熱をあげていたのが「整理整頓」でした。

整理や収納にまつわる特集記事を見ては、牛乳パックやビデオテープの空き箱などでこしらえた収納用具を家中に配置する。学校でも、暇があれば教室の本棚をきれいに整える。

掃除用具入れのなかをチェックしてもっと効率のいい収納法はないものかと腕組みをする。そんな徹底ぶりでした。幼くして整理整頓の鬼です。

でも一方でそうやって励めば励むほど、彼女は失望を味わいます。いくら片づけても、いつの間にか元の状態に戻ってしまう。それどころかリバウンドしてモノがかえって増えてしまう。

裁縫や料理の腕はどんどん上達するのに、片づけだけはそうはいきませんでした。何度やってもうまくいかない。片づけられた状態をキープできない。片づけては散らかるという繰り返しでした。

生活情報誌の片づけ特集の記事を読むと「片づけはリバウンドするもの」ときまって書いてあります。そんなもんだよね、仕方ない。彼女もその「定説」をやむなく受け入れていました。