祖父母が一番の味方であってほしい! 子育てには経験者のサポートが必要
育児方法や価値観の世代間ギャップによって、親子関係に亀裂が生じるケースも少なくないと棒田さんは指摘する。
「たとえば、赤ちゃんがお風呂から上がると祖父母はすぐに服を着せますが、まずはスキンケアをしてほしいというママ・パパ。お風呂上がりは赤ちゃんに白湯を飲ませてた祖父母世代ですが、今は飲ませません。
こうした世代間ギャップが埋められず、親が敵になってしまっているご家庭もあります。自分と違うやり方を祖父母から強要されることで『なにを言っても無駄だ』と諦めてる人もいてコミュニケーションが成り立たない。
とは言え、やはり子育ては大変です。経験者である祖父母がいてくれたほうが心強い! 祖父母が一番の理解者でいてくれれば、ママもパパも安心して子育てに臨めるものです」
令和のママ・パパにとって一番話しやすい存在であってほしい祖父母世代は「どういう子育てをしていきたいのか」と耳を傾けてから、サポートしてあげることが重要だという。
「逆にママ・パパ側が祖父母に対して気をつけてほしいこともあります。昨今は経済状況も厳しく定年の年齢も延びているため、多くの祖父母世代はまだ現役で働いています。60歳で定年する人はほとんどいません。
そして祖父母の親がまだ健在で、介護で忙しいご家庭も多い。親にしてもらったように、同じだけ時間が取れるかと言えば、それはなかなか難しい時代になっています。頼るときは、祖父母の状況も気にかけてあげてほしいですね」
「産後の妻は怖かった」祖父母が知らないホルモンバランスの変化
祖父母世代が孫育て講座を受けるのはいつのタイミングがベストなのか?
「妊娠中が一番いいですね。生まれる前にみんなで同じ話を聞けば、あとでコミュニケーションが取りやすい。
育児のスタート地点でボタンのかけちがいが起こると、産後のいちばん大変なときにママとパパが孤独になってしまいます。子育ての話をみんなで聞くことによって共通認識が生まれるのです」
実際に講座を受けた祖父母世代からもっとも反応が大きいのは、出産後の女性の体について。
「おじいちゃんになる人たちに産後の妻はどんな様子だったか聞くと、皆さん決まって『怖かった』と言っている。
赤ちゃんを産んだ後の女性ってハッピーだと思われがちなんですけど、精神医学の世界では大事なパートナーをなくした時と同じぐらいのロスを味わっていると言われてます。
10か月共に過ごした赤ちゃんが胎内からいなくなる喪失感で、産後うつになってしまう人も。
当時はホルモンバランスの存在があまり認知されてなかったこともあり、産後の女性は不安定で怖いとしか思われていなかった。祖父母世代はもっと早く知っておきたかったと後悔する人が多いですね」