専門店「あらゆるコストが、軒並み上がっている状況」 

「原材料費が高騰しているため、カカオの配合が少なくても楽しめる新たなチョコレートブランドの開発を検討しております。

また、バレンタインにおける“手作り需要”も増加しています。百貨店などで販売される市販のチョコレートが高騰しているため、コストパフォーマンスよく大量に用意できる手作りチョコが人気を集めているようです。

弊社の調査によると、2023年に手作りチョコを贈った人は23.3%でしたが、2024年には33.4%と10ポイント以上増加しました。今年はさらに伸びると予想されており、手作りの材料としても使われる板チョコタイプの製品は、最需要期である1~2月に前年同期比5%増産、販売金額は20%増加しました」(明治・広報担当者)

ただし、手作り需要の増加などによる思わぬ追い風はあるものの、やはり大手であっても、カカオショックへの対策は容易ではないようだ。

となれば、明治ほどの規模を持たないチョコレート専門店は、さらなる工夫を強いられているはずだ。そう考えた取材班は、都内に3店舗を展開するチョコレート専門店にも話を聞いた。

訪れたのは、店頭販売に加え、全3店舗分の製造も手掛ける同店舗の旗艦店。ここも例に漏れず、カカオショックへの対応に苦慮していた。

「カカオの産地としては、コートジボワールが圧倒的に多いのですが、天候不順などの影響もあり、現在は価格が大幅に上昇しています。1キロ3~4000円だったものが、今では6000円とか、約2倍くらいの価格になっているんです。

あと、最近ヨーロッパでは環境保全の一環として『森林を伐採して作られたカカオ農園とは取引しない』という取り組みも広がっていて、より供給が不足しているんですよ」(都内チョコレート店店主、以下同)

発注画面を特別に見せてくれた(撮影/集英社オンライン)
発注画面を特別に見せてくれた(撮影/集英社オンライン)

さらに、高騰する原材料費に加え、人件費や光熱費の高騰なども重くのしかかっているという。

「チョコレートは輸入品のため、円安や燃料費高騰の影響を受けます。また、店舗の設備面では電気代の負担が特に大きいですね。チョコレートを扱っているため、各部屋の温度は季節を問わず低めに設定していますし、冷蔵庫や冷凍庫の台数も多いんですよ。

あと、最近ではコックコートのクリーニング代も値上げされてしまい……。あらゆるコストが、軒並み上がっている状況なんです」