難関高校にも受かるほど頭のよかった中学生時代のA

そんな家族の異変が表面化したのは、Aが中学3年生の2022年8月のこと。児童相談所関係者が語る。

「Aの父親が警察の相談窓口に、『素行不良なところがある』とAを連れてきました。事情を聞く中で、Aは『4、5年前にお父さんに叩かれた』と証言。警察が書面で通告したことで、児相(児童相談所)はAの世帯を“身体的な虐待があった世帯”と認知することになった」

法廷で語られた内容とも一致する証言で、これが事実なら、幼い頃から父との葛藤を抱えてきたことがうかがえる。しかし――

「Aは父親から継続的な虐待があったとは言わず、児相もAの体を調べて虐待による傷跡がないことを確認しました。

その後、2023年3月に母親から『父親がAに謝罪して和解がなされ、父親とAが会話をしたり、一緒に外食したりするなど状況は安定している』との報告を受け、中学校からも同様の確認をとったので対応は終了しています」(同前)

相模原市児童相談所(撮影/集英社オンライン)
相模原市児童相談所(撮影/集英社オンライン)

その後、受験を経て晴れて高校生となったA。

「超難関の国立大付属高と有名私立高校の二つに合格したと聞いて、近所のお母さんたちの間でも『すごいね〜』とうわさになっていました。

でも、なぜかどちらにもいかず、偏差値ランクがそれより下の、通学に1時間半くらいかかる県立高に入学したんです。彼なら県立でもトップ校に行けたと思うけれど……。

もしかしたら、Aは自分を知っている地元の人が行かない遠い学校を選んだのかも」(知人女性)

物静かだったA(同級生提供)
物静かだったA(同級生提供)

実際、中学までの同級生の中では高校進学後のAについて知っている人はほとんどいなかったようだ。