お世話になってない人にも「お世話になっております」

――フリーでなければできなかった経験は何かありましたか?

吉本へのオファーですね! このあいだ(昨年12月)の大阪での単独ライブに吉本芸人に出てもらいたかったんで、私からオファーしてキャスティングしたんですよ。

今までギャラを支払われる側だった会社にギャラ振り込みました(笑)。

自身が所属していた古巣の吉本にオファーしたことを話す誠子さん
自身が所属していた古巣の吉本にオファーしたことを話す誠子さん

――いきなりフリーになっていろいろご苦労がありそうですね。

いろいろありました。ビジネスメールのマナーとか。最初、オファーメールなどに「お疲れ様です」って送ってて。でも一緒にライフスタイルブランドを運営している子に「『お世話になっております』が常識だよ」って教えてもらいました。

高校卒業してすぐ吉本に入ったから一般企業の常識とか知らなくて。でも私はフリーとして活動するうえで、ちゃんとそういう社会の常識を知らないといけないなと思って勉強しています。

最初はシンプルに大変でしたけど、乗り越えた先には新しい景色があるし、自分の身になると思ってがんばりました。おかげで今は少し慣れてきましたね。

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――オファーメールのやり取りなど、裏方的な業務を誰かに任せることはしなかったんですか?

自分の生き方や経験が全部、芸になると考えてるから、いろんな苦労や経験をしたほうがいいなと思ったのと、結局、私はお笑いだけやっててもダメなんだと思いました。

吉本に入って何年目かに「ネタ番組だけ見てネタだけをやるのでは無理なんだ」と感じたのと同じで。

だから今の私ならビジネスマンの前でウケるネタを作れそうなんですよ。「お世話になってない人にも『お世話になっております』って言いますよね」とか。フリーになって仕事の幅も芸の幅もすごく広がりました。