自分の中の「楽しい」がどんどん仕事になってきた

––––まずは退所に至った経緯を教えてください。

エハラマサヒロ(以下、同)
  僕はもともと「お笑いを極めるために、ネタをずっと作り続ける」というタイプの芸人ではないんですよ。それ以上に「自分が楽しいと思うものを、全部表現したい」という思いで、ここまでやってきたんです。

だから、お笑い芸人として立ち回りながらも、歌を唄ったり、ダンスをやったり、ヒューマンビートボックスをやったり、マジックをやったり、いろいろなことに挑戦してきたんです。

エハラマサヒロさん
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––––一般的な「お笑い」の形には、最初からあまり固執していなかった、と。

もちろん最初はお笑い界に憧れて、「おもろいことをやりたい!」という気持ちで芸人を目指しました。

ただ、芸能界でいろいろなことに触れていくうちに、やりたいことも増えてきて。歌やダンス、ミュージカル、ヒューマンビートボックス……今までは趣味として消化してきた自分の中の「楽しい」が、どんどん仕事として形になってきたんです。

一方で、もっとフットワーク軽く自分で動きたいと思ったときに、吉本という巨大な企業に所属していると、やっぱり思うようには進まないケースも多くて。吉本は6000人以上の芸人を抱える事務所ですから、社員さんもやらなくてはいけない仕事がたくさんありますよね。そのなかで、僕の優先順位を上げてもらったり、“特例”で好き放題にやらせてもらったりすることはできないんです。

––––所属している以上、守らなければならないルールがありますもんね。

はい。だから会社に迷惑をかけてしまうのであれば、僕1人でやってみようかと。

もちろん吉本という会社は、芸事に集中できるようにいろいろな面をサポートしてくれますし、お笑い芸人を目指す方にとっては、完璧な環境だと思います。ただ僕は、大人になるにつれて、もっと自分のスピード感や熱量を大切にしながら仕事と向き合いたいと思うようになったんです。