「制限なく撮影ができる場」だったかを広報担当者に聞くと…
そこで取材班が現地に向かうと、確かに「撮影についての禁止事項」なる掲示はあった。そこには「無許可での商業撮影・取材」や「概ね30㎝を超える大型レンズの使用」や「レフ板の使用」「三脚の使用」を禁止する内容などが書かれていた。
恵比寿ガーデンプレイスを管理運営しているサッポロ不動産開発株式会社の広報担当に、そもそも敷地内の写真撮影は元から「制限なく撮影ができる場」だったのかを聞いた。
「元から制限なく撮影ができる場だったわけではありません。ドラマやファッション誌系、結婚式などの撮影は有償で、ロケーションサービス事業を行なう『デイ・ナイトロケーションサービス』を窓口に事前許可申請をお願いしていましたし、それ以外の取材関係や商用以外の撮影は弊社の広報が窓口をしておりました」
では、今回の「SKY LOUNGE」における「撮影についての禁止事項」という掲示をなぜ今、行なったのだろうか。
「数年前から複数の写真家の方たちが恵比寿ガーデンプレイスの『SKY LOUNGE』で撮ったであろう写真の販売などを無断でされているのは把握していました。
それには特に対処はしてきませんでしたが、昨年、かなり影響力のあるインフルエンサーの方が、撮影した動画をYouTubeに投稿し、それを見たお客様から“この動画の撮影許可は出しているのか”といった問い合わせがあり、その撮影申請はいただいておりませんでしたので、弊社としても掲示の必要性を感じました」
広報担当によれば、「取材、撮影の申請さえしてもらえれば、プロアマ問わず撮影の検討はさせていただく」と言う。
「これほどスマホやSNSが普及している現状において、撮影の全面禁止などの規制はさすがにいたしません。
弊社から申し上げたいのは、多くのお客様に居心地よく楽しんでいただくためにも、三脚を立てたり、長時間の撮影をされたりしたい場合は、撮影申請を出していただきたいのです。
申請をいただければ弊社スタッフが必ず立ち合いますし、他のお客様にもご迷惑をかけないように配慮もできます」
写真に詳しい関係者は言う。
「インフルエンサーや写真関係の裏垢勢の方々が、周囲のお客様の写り込みなどお構いなしに動画を撮影し、それをYouTubeやTikTokなどに投稿されているんですよね。これはガーデンプレイスだけに限らず、いろんな商業施設さんが抱える悩ましい問題だと思います。
風景写真を撮る方は、ルールを守らない一部の撮り鉄の方々のように“押すなよ!”とか“下がれ!”など怒号が飛ぶことはありませんが、やはり長時間、占拠されるのは迷惑ですし、モラルは持っていただきたい」
誰だって“映え写真”は撮りたいだろう。しかし、そもそものルールを守り、譲り合う精神が必要なのではないか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班