フジテレビの会見時間が10時間超となった重要な要因 

話をフジテレビの2回目の記者会見に戻す。参加制限を設けずに挙手した記者は全員指名という方針で開催した結果、会見時間が10時間超になった。このことを受けて、「やはり記者の参加制限は必要」と主張する方もいるだろう。

しかし、重要な大前提を思い出して欲しい。会見時間が延びた要因は、フジテレビ側が質問に対して正面から答えず、要領を得ない回答を繰り返したり、酷い場合にはあっさりと前言を撤回したりするような言動をとったことにもある。

現に、筆者は挙手すれば全員が指名される記者会見に参加したことも多々あるが、質問にしっかりと回答する登壇者であれば、あそこまで会見が長くなることはなかったはずだ。

フジテレビの会見時間は10時間超だった
フジテレビの会見時間は10時間超だった
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最後に改めてまとめると、「いわゆる記者クラブに所属する大手メディアの記者」と「フリーランス記者」にもさまざまな人がいるので一括りにはできないものの、やはり質問者が記者クラブに事実上限定された閉鎖的な会見では記者がルールに従順過ぎるため、「権力監視」という報道機関としての役割を近年果たせなくなっている。

こうした権力者の不祥事や不正をやすやすと逃さないためにも、そして社会の健全化のためにも、記者会見に過度な参加資格は設けず、かつ公平に指名されるように開催することは重要ではないか。

(※)首相会見ではフリー記者も厳しい参加条件を満たせば現地参加は可能。しかし、指名は内閣記者会がほぼ独占。現に、筆者は10回ほど現地参加して指名は1回のみ。また、都知事記者会見ではフリー記者もオンライン参加は可能。しかし、小池百合子都知事はオンライン画面上で挙手するフリー記者を完全に無視して決して指名しないため、質問は事実上不可能。現に、筆者は5回ほどオンライン参加して指名は0回。

文/犬飼淳 写真/村上庄吾