デスゲーム作品の難しさは“着地点”

『イカゲーム』に限らず、日本でも『バトル・ロワイアル』や『賭博黙示録カイジ』などシリーズ化しているデスゲーム作品は山ほどあるが、その難しさについて岡本教授は具体的にこう指摘する。

「1作品目では、デスゲームという設定の衝撃性や、訳が分からないまま転がされるスリリングさがあります。ですが、続編になると視聴者も何が起こるか分かっているし、世界観にも慣れて驚きもない。その中でどう次の展開を準備していくか、という部分が難しいんです。

同じ世界観でも全く違った様相を見せたり、シーズン1とは違った登場人物の葛藤や変化、バックグラウンドを描いて新たな魅力を伝えるなどの作劇が必要になってくるでしょう」

さらに、シリーズ化が進むごとに懸念されるのは、途中離脱者の存在と新規視聴者への配慮だ。

「シリーズを最初から見ていない人に対して続編でどれくらい配慮するのかという点も大事になってきます。ただ配慮しすぎると、シリーズを全部見ている人からしたら既視感があるものばかりになってしまい途中で離脱されるリスクもあります」

そしてデスゲーム作品において最大の難所は“着地点”だという。

「デスゲーム作品はどうやって終わらせるのか、が最大の難所だと思います。不条理に特定の場所に集められ、生死をかけて戦う―。ではその不条理は誰によってもたらされ、それを暴くのか暴かないのか。

デスゲーム作品では、キャラクターたちの『敗北』や『死』の原因は、『何かを間違えたから』であると読み取れます。だからある種、勝った人はその作品世界内の『正義』を示しており、残酷な世界を生き延びるためには何が必要か、というメッセージの肝になります。

『鬼滅の刃』に関しては、主人公・炭治郎の『優しさ』や『人を助けたいという想い』が巡り巡って自分自身の身を守る結果となり、諸悪の根源に打ち勝ったと読み取れます。

そこを『イカゲーム』のシーズン3含め、物語全体でどう着地するのか。非常に楽しみなところです」

シーズン2で新キャストとして加わったイ・ビョンホン
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シーズン2では新たなゲームも展開されているが…
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