「江尻被告は『留置場の中でも仕事の計画はすでに立ててる』と…」

また、40代前半で車に轢かれる大事故に遭い、リハビリ中のDさん(46)も「江尻と武田がどんな顔をして出てくるかを確かめたくて来た」という。

Dさんは江尻被告と武田被告が入廷して間もなく、閉廷を待たずに席を立った。

「武田がのうのうと法廷に入る様子と、江尻の淡々とした態度や目つきを見て、まったく反省してないと感じたし、こんな2人に私の大切なお金を渡していたんだと思うと吐き気がしました」

それでいたたまれず席を立ったという。それでもDさんは前を向く。

「今までのリハビリ生活と違い、これからは社会に出て働くことを決めたので、仕事が決まれば仕事を優先したいと思います。今後の公判を見にいく予定はありません。江尻や武田の今後よりも、これからの自分の生活を守っていくほうを優先します」

裁判の傍聴に訪れた被害女性たち
裁判の傍聴に訪れた被害女性たち

Gさんと共に裁判の傍聴に訪れていた江尻被告の知人・Aさん(40代)は、昨年12月に江尻被告が収容されている愛知県の中警察署の留置場に面会に訪れている。

そのときの様子を訊ねると、「まったく反省してない素振りだった」という。

「“留置場の中でも仕事の計画はすでに立ててる。でも、俺がやろうとしてる仕事の話は被害女性たちにはしないでほしい。その仕事さえ成功すれば出所後、半年で被害女性たち全員に金は返せるんだ……”そんなことをペラペラ話してました。

それで私、言ってやったんです。“あんたさ、さっきから自分のことしかしゃべってないけど、女性たちに申し訳ない気持ちはないの?”って。そしたら“悪いと思ってる”と言ってましたが、まったく反省してないと思います」

詐欺のテクニックが書かれた“ミッションノート”
詐欺のテクニックが書かれた“ミッションノート”
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GさんやAさんと共に傍聴に来ていた被害女性のBさん(50代)は「江尻被告との思い出に区切りをつけるために来た」と言う。

「私は他の被害者に比べて被害額も低くて、江尻被告には400万円ほど渡し、そのうちの200万円は返ってきています。そのため被害届は出していません。

3人の子どもたちは成人していますので、学費などがかかることはありませんが、Aさんのようにまだ子どもたちに学費がたくさんかかる人は本当に大変だと思います。江尻被告はそれらの女性にどうお金を返していくつもりなんでしょうか」

1月16日には、3人の男性から金銭をだまし取り、その内容をマニュアルとして販売し利益を得ていた「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告の、最高裁への上告が14日付けで棄却され、懲役8年6ヶ月、罰金800万円の実刑判決が確定したことが報じられた。

名古屋の「頂きオヤジ」にはどれほどの刑がくだるか。

取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班