他国を不安にさせる軍備増強
国際関係において、「相手の意図がわかるかどうか」を表す重要な指標があります。それが「攻撃・防御判別性」です。相手の行動が攻撃を意図しているのか、防御を意図しているのかをどれだけ明確に見分けられるのかを表す指標です。
基本的に、相手の意図がはっきりわかるほど戦争は起きにくく、曖昧なほど起きやすくなります。
ある国が軍備増強をしているとき、その目的を説明しなかったり、曖昧にしたりすれば、他の国々は不安になります。特にその国が攻撃する素振りを少しでも見せると、他の国々は「何かある前に、自分たちも軍備を増強しておこう」と考えます。こうなると、国々はお互いを疑い、武器を増やし合い、緊張がどんどんと高まってしまいます。
攻撃・防御判別性は、兵器の性質によっても変わります。つまり、ある兵器の使用目的が明らかであるほど判別性は高く、戦争は起きにくいといえます。
例えば、ある国が国境沿いに防壁を建てた場合を考えてみましょう。これは誰がどう見ても、その国が防御を意図しているとわかります。防壁には攻撃する機能がなく、ただ相手からの攻撃を防ぐための純粋な防御用兵器です。
よって、防壁に集中している国は「自国を守ろうとしているだけ」と他の国にはっきりと伝わります。