軍隊は絶対になくならない

一応、「戦争を起こしてはいけない」という国際法は存在します。しかし、それをすべての国に強制する機関が、世界には存在しないのです。だからこそ、一部の国は「戦争を起こしても罰せられないだろう」と考え、問題を暴力で解決しようとします。

よって、世界から戦争をなくす究極的な解決策は、世界全体を1つの国にまとめ、単一の警察を作ることです。言い換えれば、「世界政府」を樹立し、世界全体をある国の「国内」にしてしまうことなのです。

世界政府ができれば、「この地球上で暴力を振るってはいけない」という法律を制定し、「世界警察」が違反者を取り締まることができます。実際に、アインシュタインは第二次世界大戦後に同様の提案を行いました。

「私が世界政府を擁護するのは、今まで人間が遭遇した最も恐るべき危険を除去する方法が他にはあり得ないからである。人類の全体的破滅を避けようという目標は、他のいかなる目標よりも優位でなければならない」(アインシュタイン『国際連合総会へ』より)

世界政府が無理ならどうするか

しかし、現実的に「世界の警察」が存在しない以上、国家は他の国から攻撃されたときには自分たちの手で自国を守らなくてはなりません。こうして、各国は「強い国」になろうとします。

少し想像してみましょう。もし日本に警察がいなかったら、あなたはどうするでしょうか? 暴力を振るわれても、誰も助けに来てくれません。泥棒に家財を盗まれても、誰も取り返してくれません。

このような状況下では、最悪の場合、あなたは生きていけません。究極的には、殺人すら誰も止めてくれないからです。そこで、あなたが自らを守るために取る方法が、今より強くなることです。例えば、武器を手に入れたり、家の防犯を強化したりすれば、暴力や泥棒から身を守れるでしょう。

第二次大戦後、アインシュタインも提案していた「世界から戦争をなくすただひとつの解決策」とは?_2

ところが、ここで問題が生じます。もし隣の家の人が自分よりももっと強力な武器を持っていたら、どう感じるでしょうか? おそらくあなたは、不安になるでしょう。もし隣人の攻撃に遭えば、自らを守り切れないからです。