地震大国ニッポン「世界の地震の約10%を占める」
そのような南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率が今回、「80%程度」に引き上げられた意味とは―。
「いきなり70%から80%になったわけではないです。もともと昨年が『74~81%』だったのを四捨五入して70%と表現していた。プレートは年々沈んでいるわけですから、時間が経てば発生確率はあがります。そこで今年は『75~82%』に上がったので四捨五入して『80%』と表現したのでしょう」
ただ、南海トラフ巨大地震に関しては、過去にM8以上の地震が繰り返し発生しているのは事実だ。
1707年に宝永地震(M8.6~8.9)が南海沖で発生。その前は102年前だと言われているが、宝永地震から147年後の1854年に安政東海地震(M8.4~M8.6)・南海地震(M8.4~M8.7)が発生。その90年後の1944年に東南海地震(M7.9~M8.2)と1946年の南海地震(M8.0~M8.4)が発生した。この2つの地震の場合、断層が一気に滑らず、2年間で2回に分けて滑ったとされている。
「南海トラフ巨大地震は100~150年のスパン、最短で90年以内に繰り返し発生しています。現在は前回の南海トラフ地震からすでに80年が経過し、ひずみも着実に増え続けている状態です」
と警鐘を鳴らす。また南海トラフ巨大地震に限らず、日本列島は常に地震の脅威にさらさてれいるのが現実だ。
「日本の地震活動は世界トップレベルです。世界の0.3%ほどの面積しかない日本列島で発生するM4以上の地震個数は、世界で起きる地震の約10%を占めています。
年間に起きるM5以上の地震は約100個、M6以上は約10個、M7以上でも約1個となります」
特に、世界でも特異な地域として知られるのが関東エリアだ。
「首都圏に関しては、2つのプレート(太平洋プレート・フィリピン海プレート)が同時に沈み込んでいる場所に位置しているんです。世界的に見てもとても珍しく、地震発生頻度は高い地域で、約100年前には大正関東地震が起きて甚大な被害が生じました」