プリウスを改造してオープンカーに

「具志川は『車』も出すみたいっすよ」

北谷の撮影スポットに集まっていた新「ハタチ」の一人にそう聞いて、県中部うるま市の式典会場に向かった。

式典開始前の午後1時から、会場前にはスーツや振り袖を着た「ハタチ」の男女がずらり。同級生との再会を懐かしむ男女や、わが子の成長を喜ぶ保護者らが談笑する温かいムードに包まれる会場に、耳をつんざく爆音が響いた。

ブンブブブンブブブンブンブン―。

吹かしたエンジンをメロディーのように奏でる「コール」を響かせた改造バイク3台が会場前の駐車場に乱入。
リーゼント頭に「戦闘服」よろしく派手な袴を身につけて旗竿を振り回す。駐車場内を蛇行運転していた新「ハタチ」の6人組は、すぐに待機していた警察官に身柄を確保された。ただ、取り押さえられた若者と警察官とのやりとりはどこか牧歌的だ。

その場で違反切符を切られながら、「ほかにも走ってるのいるぜ」と若者。警察官は「は、検問やってるぞ。また捕まるよ」と笑いながら応じる。楽しげに見守るギャラリーの一人が、「成人初逮捕だな」とはやし立て、緊迫感はゼロだ。

旗竿を振り回しながらバイクで会場に乱入
旗竿を振り回しながらバイクで会場に乱入

しばらくすると、「ファーン」と大きなクラクションの音が鳴る。今度は紅白に塗り分けた「オープンカー」のお出ましだ。

「プリウスの屋根を自分らで切った。オープンカーにしたのは2日前やっさ」と笑うのは、うるま市で自動車解体業を営む名護琉樹也さん(20)。

紅白に塗り分けられた改造プリウス
紅白に塗り分けられた改造プリウス

車両を積載して会場近くまで運びこみ、仲間とともに2キロかけて会場に乗りつけた。

言うまでもなくこちらもすぐに検挙対象に。「保安基準を満たしていない」として道路交通法違反で御用となった。「秒で捕まったや。もうちょい楽しみたかった」とタバコをふかす名護さんの趣味は、雄の鶏を戦わせて勝敗を競う「タウチー(闘鶏)」。袴の背面には、「ルーキー」という自身の呼び名とともに、そのタウチーにちなんだ文言を刺繍していた。

袴の背面に縫われた「ルーキー」の文字
袴の背面に縫われた「ルーキー」の文字

地元メディアによると県内では12日、「二十歳の集い」の関連で5人が道路運送業違反や道交法違反などで逮捕されたという。

やはり沖縄の若者らの一部にヤンチャな気風は受け継がれているようだ。派手な袴に袖を通す若者たちの多くが、そういうマインドの持ち主なのかというと、そういった単純な図式に当てはまらない背景もあるようだ。