「『どヤンキー』なウーマクー(やんちゃ坊主)もほとんどいなくなった」
「袴はヤンキーじゃなくっても着ますよ」と語るのは、仲間とお揃いの袴で式典に臨んだ訓練学校生の上原琉羽空さん(20)。「友だちの声がけで記念だからってことで作りました。一生に一回のことだし、絆が深まるような感じがしていい」と続ける。母のこず恵さん(49)も「息子にとって記念になるなら」と目を細める。
お揃いの袴でポーズを取る、村吉政汰さん(19)と山内栄洋さん(20)。村吉さんは、県外の大学で医療機関での事務職を目指している。山内さんは左官職人として、そして一児のパパとしても忙しい毎日を送っている。
「17歳からオヤジ(社長)の所で働いている。ハタチにもなったし、7カ月になる娘のためにもがんばっていきたい」と山内さん。村吉さんは、「久しぶりに会った仲間と同じ袴を着るのは最高の気分。将来は沖縄に戻って働きたい」と笑顔を見せた。
約10年前から「二十歳の集い」のための袴や振り袖のレンタル、販売を手掛けてきた比嘉社長は「沖縄の『成人式』はここ数年で様変わりしました」と明かす。
比嘉社長によると、かつて「荒れる成人式」と言われていた通り、旧成人同士の揉め事も多く、式典前には式典当日のトラブルを警戒する警察からの連絡も受けていたという。
「最近は警察からの連絡もなくなり、式典でのトラブルもほとんど聞かなくなりました。年々減ってきてはいましたが、コロナの後はさらに減ってきていて、以前いたような『どヤンキー』なウーマクー(やんちゃ坊主)もほとんどいなくなりましたよ」(比嘉社表)
華美さを競う沖縄の若者たちの一生に一度の晴れ舞台は、沖縄のヤンキーの代名詞ではなく、一種の「文化」になりつつあるようだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班