ジョー・ストラマーのブレないカッコよさ

1970年代後半のイギリスでは失業者が増えて、将来への希望を見出せない若者で溢れ返っていた。

そんな中、歴然と存在する階級社会や古い伝統に囚われず、「やりたいことをやってもいい。新しい自由な生き方を自分たちの手で作る」というのが、新しく起こったパンクとインディペンデントの精神だった。

1977年にデビューしたザ・クラッシュは、数あるパンクバンドの中でも特別な存在だった。

それは中心メンバーのジョー・ストラマーの、一貫したブレない姿勢によるところが大きい。

1980年、ザ・クラッシュの名を音楽史に永遠に刻むことになったアルバム『ロンドン・コーリング』の成功を受け、ジョー・ストラマーはまさに”時の人”になっていた。

『ロンドン・コーリング 40周年記念盤【完全生産限定盤】』(2019年11月15日発売、SonyMusic)。エルヴィス・プレスリーのデビュー作をモチーフにしたジャケットが特徴的な名盤だ
『ロンドン・コーリング 40周年記念盤【完全生産限定盤】』(2019年11月15日発売、SonyMusic)。エルヴィス・プレスリーのデビュー作をモチーフにしたジャケットが特徴的な名盤だ
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しかし、ジョーはスターとして特別に扱われることを頑なに拒否した。

逆に、ホームレスを見かければ酒代に消えると分かっていてもお金を渡し、コンサートに行くお金がない若者を見つければ、会場にゲストとして招待した。

ジョーの招待者リストはいつだって、そうした人たちの名前で溢れていた。もちろん移動ひとつでさえ、いつも地下鉄を利用していたという。