〈箱根駅伝〉花田監督が武井隆次、櫛部静二と築いた「早大三羽烏」時代…明らかに実力の劣る花田に当時の瀬古利彦監督がかけたやさしい言葉
今年の箱根駅伝でも奮闘する早稲田大学の駅伝監督を務める花田勝彦監督。同校OBには瀬古利彦、渡辺康幸、佐藤敦之、竹澤健介、大迫傑など歴代の日本代表長距離選手がズラリと名を連ねるが、花田自身もその一人だ。現在は監督として勝負する花田だが、現役時代は箱根駅伝に向き合っていたのだろうか。
『学んで伝える ランナーとして指導者として僕が大切にしているメソッド』(徳間書店)より一部抜粋・再構成してお届けする。
学んで伝える#1
今も忘れない瀬古利彦への感謝
実際、即戦力ルーキーの武井君と櫛部君は、1年目のトラックシーズンから関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)や東京六大学対校陸上競技大会などでエンジのユニフォームを着て活躍していた。
その傍らで、同じスポーツ推薦の立場ながら、私は補助員や応援要員でしかなかった。走れない期間、2人との差はどんどん大きくなっていった。
元気のない私を見かねて、瀬古さんは頻繁に声をかけてくれた。
瀬古さんはポイント練習のある日しか所沢には来なかったが、ケガで走れない私にも必ず声をかけてくれた。
「花田、足の調子はどうだ? 落ち込んでいてもしかたないから飯でも食いにいこう」そう言って、練習後に都内で待ち合わせて食事をご馳走してくれた。
また、瀬古さんから紹介された治療院の帰りには、瀬古さんが監督をしていたエスビー食品陸上部のクラブハウスに呼ばれ、夕食をご馳走してくれたこともあった。
ケガが良くなって、ようやく試合に出られるようになったのは7月だった。
その期間、腐らずにリハビリを続けられたのは、そうした瀬古さんのサポートがあったからだと今も感謝している。
『学んで伝える ランナーとして指導者として僕が大切にしているメソッド』(徳間書店)
花田勝彦
2024年11月13日
1,980円(税込)
276ページ
ISBN: 978-4198659226
早稲田駅伝復活のタスキは、この男に託された!
こんなにも憎たらしくて
こんなにも放っておけない
愛弟子はほかにいない。
瀬古利彦
陸上競技専門の顧問がおらず、自分自身で創意工夫をしながら走っていた中学・高校時代。
そこから運命の師・瀬古利彦と出会い、挫折、期待、衝突、共闘を繰り返しながら掴んだ、箱根駅伝と2度のオリンピックの舞台。
現在は、母校・早稲田大学の駅伝チームを指揮する著者の、人生の歩み、出会いのなかから導き出された、学びや教えを綴った初めての著書――。
≪本書の内容≫
第1章:新しい早稲田をつくる
第2章:置かれた場所で工夫する
第3章:運命の師との出会い
第4章:早大三羽烏と呼ばれて
第5章:流した汗と涙は
第6章:海の向こうの世界
第7章:箱根駅伝と母の言葉
第8章:オリンピックへの道
第9章:指導者への道
第10章:持続可能な組織をつくる