あらゆるものに感謝する

世界のどの基準から見ても、あの人は立派だ、あの人は偉いという基準になっているのは人柄であり、人格です。立派な人格を持っていることが最も大事なのです。

それはどういう人格なのかといえば、優しい思いやりを持ち、あらゆるものに常に感謝をする人です。

みなさんの場合にはご両親に感謝をし、きょうだいに感謝し、先生に対しても、また周囲にいる町の人たちにも感謝をし、平和に生きられることにも感謝をする。そして、そういう環境にあるだけに、思いやりの心で少しでも他人(ひと)さまのお役に立つようなことをする。

先ほど、みなさんが掃除をしていらっしゃる様子を拝見しましたが、みんなのためにという思いやりの心で、美しく気持ちのよいお便所になるよう一生懸命に掃除をしておられます。

”経営の神様”といわれた稲盛和夫さんが「人間として偉いかどうかは地位ではなく人柄だ」と説いていた意味_2
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つまり、自分が犠牲を払って他人のために尽くしてあげるというものが「思いやりの心」なのです。これはどんな思いよりも大事な思いです。

たいへん難しい科学技術の研究をするのも、大会社を経営するのも、思いやりの心がベースになって研究をしていくなら、経営をしていくなら、それはよい研究、よい経営になっていきます。

思いやりどころか、自分だけよければいいというエゴ丸出しで会社を経営し、自分だけがうまくいけばいいのだと思って研究をしたのであれば、ろくでもない経営、ろくでもない研究しかできません。

よい考え方、よい心というものは、肯定的で明るく、善意に物事を考えるということです。悪い考え方、悪い心というのは、否定的で、悪意に物事を解釈するということです。

みなさん、ぜひ明るく肯定的に、善意に物事を考えるということを心がけるようにしてください。私の話を聞いて、なるほどと思っても、それをすぐに実行に移すことは難しいでしょうが、ぜひ心がけていただきたいと思います。

(2006年12月22日 善通寺市立東中学校での講演より)

「迷わない心」のつくり方
稲盛和夫
「迷わない心」のつくり方
2024/11/8
1,650円(税込)
208ページ
ISBN: 978-4763141712

世界累計2800万部。
稲盛和夫氏がこれからの時代を生きる人たちに伝える人生の目的とは



◎世界累計2800万部&京セラ稲盛和夫氏と、『君たちはどう生きるか』の羽賀翔一氏がコラボした最新刊!
初公開の講演録も含め、稲盛氏が若い人たちに向けて語った内容と、導入として羽賀先生の漫画を掲載。今迷いのあるすべての方に向け、やさしく語りかけるような1冊になりました。
◎「思い」がすべてをつくる
京セラ・KDDIの創設、JALの再建、著書累計が世界2800万部に及ぶすばらしい実績を残した稲盛氏ですが、10代の頃はうまくいかないことも多く、「自分は絶対くじに当たらない自信がある」とまで話していたそうです。
何が稲盛氏の運命を変えたのか。それはすべて「思う」ことから始まりました。では、人生を変える「思い」の持ち方とは何か。生き方が変わる1冊です。

【目次より】
第1話 能力以上に「運命」を決めるもの
第2話 感動のある人生を生きるために
第3話 試練をどう乗り越えるか
第4話 君の思いは必ず実現する

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