あらゆるものに感謝する
世界のどの基準から見ても、あの人は立派だ、あの人は偉いという基準になっているのは人柄であり、人格です。立派な人格を持っていることが最も大事なのです。
それはどういう人格なのかといえば、優しい思いやりを持ち、あらゆるものに常に感謝をする人です。
みなさんの場合にはご両親に感謝をし、きょうだいに感謝し、先生に対しても、また周囲にいる町の人たちにも感謝をし、平和に生きられることにも感謝をする。そして、そういう環境にあるだけに、思いやりの心で少しでも他人(ひと)さまのお役に立つようなことをする。
先ほど、みなさんが掃除をしていらっしゃる様子を拝見しましたが、みんなのためにという思いやりの心で、美しく気持ちのよいお便所になるよう一生懸命に掃除をしておられます。
つまり、自分が犠牲を払って他人のために尽くしてあげるというものが「思いやりの心」なのです。これはどんな思いよりも大事な思いです。
たいへん難しい科学技術の研究をするのも、大会社を経営するのも、思いやりの心がベースになって研究をしていくなら、経営をしていくなら、それはよい研究、よい経営になっていきます。
思いやりどころか、自分だけよければいいというエゴ丸出しで会社を経営し、自分だけがうまくいけばいいのだと思って研究をしたのであれば、ろくでもない経営、ろくでもない研究しかできません。
よい考え方、よい心というものは、肯定的で明るく、善意に物事を考えるということです。悪い考え方、悪い心というのは、否定的で、悪意に物事を解釈するということです。
みなさん、ぜひ明るく肯定的に、善意に物事を考えるということを心がけるようにしてください。私の話を聞いて、なるほどと思っても、それをすぐに実行に移すことは難しいでしょうが、ぜひ心がけていただきたいと思います。
(2006年12月22日 善通寺市立東中学校での講演より)