両手いっぱいの赤いバラで告白「俺でよければお付き合いください」
愛知県在住のDさん(46)は、40代前半で車に轢かれる大事故に遭い、足腰が不自由な生活を余儀なくされた。事故以降、リハビリの日々を送り、ようやく日常生活を取り戻してきたこともあり、長らく関わりのなかった異性との出会いを求め、マッチングアプリを始めた。
そうして2021年11月に出会ったのが、江尻容疑者だった。最初は通話するだけの仲だったが、2回目に会った際、Dさんから交際を申し込んだという。
「通話のときから印象がよくて、実際に会ったときも感じがよかったんです。だから、2回目で“この人を逃したくない”と思い、自分から告白しました。
すると江尻は『俺でいいの?』と言って、『これは俺から言わせて』と、3回目に会ったときに両手いっぱいの赤いバラを用意して『俺でよければお付き合いください』と言ってきました。その誠実な告白に、すごく惹かれてしまいました」(Dさん、以下同)
それ以降、江尻容疑者は月に何度かリハビリセンターに通うDさんの送迎も欠かさず行ない、さらに毎日のようにランチをご馳走してくれていたという。
「江尻は『多忙な経営者だけどなんとか時間を作っている』というていで、毎日のように私に会いに来てくれて、そのたびに『パワーもらえたわ!』と言って帰っていきました。最初のころから秘書役の武田も姿を見せるようになり、3人でランチをする日も増えました」
そして、前編記事で取材した被害女性Cさんと同じように、交際1ヶ月記念のデートの際に“事件”が起きた。
「Cさんと同じく、クリスチャン ルブタンの財布をなくしたという小芝居が始まりました。私の場合は、江尻と武田の2人でした。江尻が武田に『専務に電話しろ』とか『明日の支払いはどうしよう』と話し始め、『翌日までに1000万円が必要だ』と言っていました」
その慌てぶりを見て力になりたいと考えたDさんは、「いくらか貸そうか」と提案した。すると、江尻容疑者は「いや、そんな迷惑をかけられない」と一度は断ったという。
「だけど『どうしよう』と会話するうちに、江尻が『やはりいくらか借りられると助かる』と言い出し、最終的に400万円を貸すことになりました。
でも、私は愛知の自宅には銀行口座の通帳も印鑑も置いていなかったので、その旨を伝えると、『明日取りに行こう』という話になり……。翌朝6時に出発し、愛知から片道2時間の実家に、江尻と武田、私の3人で向かったんです」