「自分を守れるのは自分しかいない」

――顔写真や名前を勝手に宣伝に使われた芸能人の被害はよく聞きますか?

例えば、その芸能人が来店したことがないのに「この店に来ました」というポスターを許可なく貼れば、ファンが来るじゃないですか。芸能人の名前が書かれたお花が、あたかもそのお店に届きましたという風に置いてあったりとか、明らかにおかしいのもありますね。

あとは、最近も報じられたりしていますが、まったく縁もゆかりもない詐欺グループが芸能人の名前や顔写真を勝手に使って金銭を集めたりするケースは多いと聞きます。

――今回の入江さんのように裁判になったケースをご存じですか?

いいえ、向こう(店側)も僕がこの状況でまさか裁判してくるなんてまったく思ってなかったでしょうね。

でもさすがに、今は新しい仕事をしていて、あのポスターが確実に会社の足を引っ張るんで、言えるところは言ってかないと、と思いました。自分を守れるのは自分しかいないので。今回が初めてです。裁判起こしたのは。

取材に応じる入江さん(撮影/集英社オンライン)
取材に応じる入江さん(撮影/集英社オンライン)

――今回の結果は、今後同種の問題がいい方向に進むきっかけになりそうですか?

わからないんですけど、自分が納得いかないことは動いたほうがいいんじゃないかなと思うんですよね。

僕も週刊誌にいろいろ書かれて、でも事実と全然違うことも書かれて、そのときは問題が大きくなるのが怖くて言わなかったですけど、今となってはちょっと後悔してる部分もあります。

――今回は裁判に踏み切ってよかったと思いますか?

そうですね。会社を守る上ではよかったと思います。あと、もっとも精神的に弱ってるときにやられてたんで、それが悔しかったです。「いや、一番勢いあるときにきてくれよ」っていう……。ここぞとばかりにくるじゃないですか。

なんかこう、日本の悪い風潮かなと思ったりします。Xを見ていると(誰かが問題を起こすと)「やっぱ俺もそう思ってた」「私もそう思ってた」って(いうポストが)どんどん出てくるじゃないですか。そういうのは気の毒だなと思いますね。

自身の清掃会社ピカピカで働く入江さん
自身の清掃会社ピカピカで働く入江さん
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 ――被告の店側は「クスっと笑ってくれたらいいなと思って作って」と言っています。

少なくとも僕は当時これを見て、笑えませんでした。店で飲んでる人たちが「こいつは闇営業やってクビになったやつだろ」ってネタにしますよね。それがイヤでした。

今回もSNSじゃなくてこのように取材で話しているのは、ちゃんと取材を受けて自分の気持ちを伝えたいと思ったからです。SNSでパッて上げたら、いろんな風に取る人もいるかなと思ったので。この店を攻撃したいとか、そういうわけではないんです。

――改めて、裁判に踏み切った理由は。

会社を守るということ。自分の会社を自分で守るためです。夢があって、目標があって、それに対して(ポスターが)悪影響だなと思ったんです。だから裁判で争おうと決めました。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班