カマラ・ハリスは高市早苗ではないが…
「良好な」という言葉を飛び越えて、どのような米政府ができあがっても、日本政府は常に米政府に従属的な立場であり続けてきたからだ。
その起点は先の戦争での敗戦であるというのが一般的な見方だ。
だが対米従属はもっとさかのぼることが可能なのかもしれない。つまり黒船だ。1853年にペリー提督が浦賀沖に来て江戸幕府(当時の日本政府)に開国を迫ったとき以来、日本は常にアメリカの思うままに(戦時中の「鬼畜米英」時代は除く)されてきた。
そのような主従構造が根深く出来上がっているのだ。白井聡氏が、戦後とは「国体」が天皇からアメリカに変わっただけ、と述べているのは慧眼だと思う。
「もしトラ」ならば、故・安倍晋三氏の目を覆うばかりの隷従ぶりを想起するとよい。安全保障分野に固執している石破茂首相(米大統領選挙の結果が出た時にはどのような位置にいるのかさえ判然としないが)は、さらに高額な武器を爆買いさせられるかもしれない。
「もしハリ」の場合も、ハリス氏が日本との二国間関係にそれほど注力した経歴をどうしても思い出せない。しかし米国史上初の女性大統領の誕生は、日本の政治を取り巻く空気にも一陣の風を吹かせることになるのではないか。
ただ、言っておきたいのはカマラ・ハリスは、日本の高市早苗氏とは全く違った価値観を保持してここまで来たこと。
「もしトラ」の場合、通商政策では、輸入品により高い関税を課すと公言している。米国内での物価が上昇しインフレとなって、円安がさらに進んで、日銀の金利政策など吹っ飛んでしまうような大きな動きが出るとか出ないとか、諸メディアでコメンテーターたちが賑やかに予言している。
もちろんこれらは切実な問題だろうが、僕自身は正直あまり関心がない。むしろ、次に記すような具体的な動きに関心をもっている。書き留めておきたい。