「これじゃ足りん。4億にせえ」
片山氏のもう一つのルートが信用金庫業界だ。
「県内の信用金庫11行が合計で2000万円を協賛しました。その大半もパレードの後に拠出が決まっています。この経緯について、片山氏は9月6日の百条委の証人尋問で、県内信金業界で顔の広いB信金の理事長をパレード直前に訪ねて県内信金への拠出呼び掛けを求めた、と説明しました。
この後、11行が50~300万円を出し、合計2000万円が集まりました。しかしパレード後に拠出しても宣伝効果はないに等しく、メリットもなしに信金が金を出したとなれば経営陣は背任に問われかねません。
ここで浮かんだのが、信金に見返りに補助金をつけたのではないかという疑惑です」(在阪記者)
問題になったのは新型コロナウイルス感染症対策の一つである金融機関による無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)制度に絡む補助金だ。
兵庫県は、金融機関がゼロゼロ融資で中小事業者を支援すれば1件当たり最高10万円の補助金を金融機関に出す仕組みをコロナ禍で始めた。
2022年補正予算で8億円が計上されたこの補助金だが、コロナ禍も落ち着いたことから、昨年秋に編成された2023年補正予算では1億円が計上される予定だった。
「実施見込みを基に現場が積み上げた必要額が1億円でした。ところが片山副知事が突然『これじゃ足りん。4億にせえ』と言い始め、担当課は要求額を3億7500万円に引き上げました。算定根拠は失われ、上司の言う通りにしたということです。
さらに今度は斎藤知事がパレード2日前に『全体をまるく4億円程度で』計上しろと求めたのです。
またもや何の根拠もなく2500万円もの税金の追加支出が決まったわけです」(県関係者)
この経緯は関わった県職員による詳細なメモに記録されており、メモを入手した百条委の追及に対し、両氏は事実を認めている。
「メモは増額指示を異常だと感じた担当職員が後に問題になると考え作成したとみられています」と地元記者は話す。