病気と生活環境のズレ、妊娠のタイムリミットも意識
しかし、そんな優しい元夫となぜ離婚という結論にまで至ってしまったのだろうか。
「一番はお互いの求める家での過ごし方がまったく異なるという点でした。私は病気の症状もあって、家では静かに過ごしたいんですが、多趣味な夫は、音楽やゲーム、ラジオと、自分の好きなコンテンツを一気に浴びることが家でのリラックス方法だった。
この生活環境が、私が体調管理をする上で負担になっていると気づき始めてからは、『音量を絞ってほしい』とお願いしたり、生活スペースを分けて一人で過ごせる場所を作ったり、色々と努力はしたんですけど、やっぱりダメでした。それを認めるまでに時間はかかりましたが、次第に別居や離婚を考えるようになりました」
離婚が脳裏をかすめ始めたのは、もう一つ理由があった。子どものことだ。
結婚当初はお互い子どもをもうけることを夢見ていたが、病気を患ってからは、体調が整うまで妊活は一旦中断していた。しかし、なかなか病気が改善しないことへの焦りに加え、夫との結婚生活での不安が募る中、34歳になった昨年、妊娠へのタイムリミットをリアルに考え始めたという。
「最初は別居したいと伝えたんですが、お互いの年齢を考えたとき、別居しながら婚姻関係を続けても子どもができるわけではないし、それでいいのかなと考えました。夫も32歳でまだやり直せる年齢。私自身もここから病気が回復し、人生を立て直せるんだとしたら、今引き延ばすべきではないと思いました。
将来的に産めるかわからないし、持病もあって育てられるかもわからない。今この人と別れたら、この先ずっと独りで生きていく人生かもしれない、子どもを持たない人生になるかもしれないって葛藤はあったんですけど、まずは今の自分にとって少しでも安心して自分らしく過ごせる生活を取り戻すことを優先しました」
何度も話し合いを重ねた結果、35歳となる今年5月末、正式に離婚が成立した。