パレード終了後に、宣伝ができないにもかかわらず集まった協賛金
昨年11月23日のパレードは大阪府と兵庫県が中心となり、公費を使わずクラウドファンディングで費用を捻出するとぶち上げたが、大誤算の結果となった。
開催前日、斎藤知事(今年9月30日に失職)は記者会見で資金状況をこう説明した。
「クラウドファンディングが約9300万円で、1万人以上の方に寄付いただいた。5億円を目標にしており、届かなかったところは現実として結果が出ています。
一方で企業協賛金は4億円強が集まる見込みになっており大変ありがたいと思っています」(斎藤氏)
結局、約6億5300万円の費用のうち企業などから121件、計約5億3100万円の協賛金・寄付金が集まった。
だが関係者は「クラファンの不足分を埋めるためパレード後も協賛金集めが続きました」と話す。兵庫県で陣頭指揮を執ったのが片山安孝副知事(今年7月末に辞任)だった。
片山氏による資金調達のうち、すでに明るみになっている信用金庫の拠出問題を先に振り返っておこう。
「片山氏はパレードの直前、県内信金業界の有力者である但陽信金の理事長に寄付の依頼と他の信金への寄付呼びかけを求めています。
片山氏は県信用保証協会の理事長経験者で、頼まれれば金融機関は断れない立場だったでしょう。結果、但陽信金はじめ11行が50~300万円を出し、計2000万円が集まりました」(県内の信金幹部)
片山氏は今年9月6日の県議会調査特別委員会(百条委)の証人尋問で、但陽信金に2000万円を明示して取りまとめを頼んだのではないかと質され「(理事長に)お願いに行きました。具体の額は言っていません」と答え、依頼の事実は認めている。
「しかし11行のうち9行はパレードが終わり、宣伝もできなくなったのに昨年11月24~30日に協賛金を出すと県に伝えています」(県関係者)
宣伝にもならない持ち出しなら経営者は背任に問われかねない。ここで浮かんだのが協賛金の見返りに補助金をつけると県が約束したのではないかという疑惑だ。
「コロナ対策の一つに金融機関による無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)制度があります。県は金融機関がゼロゼロ融資で中小事業者を支援すれば1件あたり最高10万円の補助金を金融機関に出してきました。
昨秋、県は補正予算で当初1億円の補助金を計上しました。ところがこの規模が突然4倍になったんです」(同前)