48年のレスラー人生で「ブック」なんて聞いたことない
『極悪女王』では、全日本女子プロレス(全女)を経営する「松永三兄弟」の松永高司(村上淳)、国松(黒田大輔)、俊国(斎藤工)が試合について話し合う時に「ブック」という言葉が頻繁に出てくる。
「ブック」とはどういう意味なのか? ジャガーに尋ねると即答した。
「どんな意味なのか全然知りません。ドラマでは何か試合に『勝て』『負けろ』って言うときに使われていましたけど、そういうことの専門用語なんですかね?」
そして続けた。
「だけど、そんな専門用語はありません。私はこの世界に48年間いますけど使ったことがないです。この世界で一番古い私が使ったことないんだから、現実の世界にはない言葉です。ドラマの中で作った言葉だと思います」
フィクションで描かれた『極悪女王』は、物語がプロレスは事前に勝敗が決まっている前提で進んでいると受け止められるシーンが散りばめられている。
「フィクションとしての物語だからいろんな作りをしてもいいと思うんですけど、見ている方たちがあの物語を全部、本当だと思われたら私は残念に思うところはあります。
プロレスは、八百長と思っている人もいるし、真剣勝負だと見ている人もいます。そこは見ている方々の自由でいいし見ている方が決めてください。
ただ、言えることは、プロレスには“受けの美学”があります。勝負は、3カウントを取り、ギブアップを奪うところだけだと思われがちですが、レスラーにとってリング上で出す技の一発、一発が勝負です。
攻撃力のない人は攻撃できないし、気が弱い選手は、やられっぱなしになります。技を受けたら次にやり返せばいい。そこに最低限のルールはあります。
だから、プロレスは決まったルールに基づいて戦う勝負だと私は考えていますしファンのみなさんにはレスラーがリング上で純粋に真剣に頑張っていることを感じ取ってもらいたいですね」
セリフで表現される「ブック」という言葉に疑問を投げかけたジャガーだが『極悪女王』には「本当のことを物語っていることもある」と明かした。
それが一人の少女がプロレスの世界へ飛び込む覚悟だ。ドラマでは、主演のゆりやんレトリィバァが演じるダンプ松本の入門する前の過酷な家庭環境が描かれている。