テレビ出演行脚は再出馬への布石
これらの戦略を3連休中にいろいろ練ったとみられる斎藤知事は、この期間にテレビに出まくるという新たな動きを見せた。不信任決議が通った翌日の9月20日から連日である。目を引いたのは生出演にこだわったことだ。
「収録や編集はNGで、話す相手もアナウンサーか記者との1対1と条件を付けられました」
在阪民放の記者はそうぼやくが、出演はいずれも放送局側から依頼している。知事が出した条件を番組側がほとんど丸のみしたというのが実態だ。
「疑惑を告発した元西播磨県民局長・Aさんを特定し、懲戒処分にする報復人事を行なったことは、告発者の特定や不利益を与えることを禁じる公益通報者保護法違反との見方が強まっています。
しかし知事は、処分後に自死したAさんへの調査や懲戒人事に問題はなかったとのこれまでの持論を各局で繰り返し、県政運営の実績アピールを続けました。知事選出馬に備えた事実上の事前運動といっていいでしょう。視聴者の反応を見て勝てるかどうか測ろうということでしょうね。
こうした言動をメディアは検証して伝えるべきですが、知事に発言の問題点を指摘したのはNHKとテレビ朝日系列のABCだけ。他の局は批判もせず言い分を垂れ流していました。知事出演を『視聴率が取れるコンテンツ』程度にしかみていないのでしょう」(県政界関係者)
特に問題とみられるのが、告発とは無関係なAさんのメールの文言を知事が切り取って出演のたびに言及し、新たな罪状を作りだそうとしたことだ。
例えば24日のABCでの番組では「知事自身の疑惑が書かれた告発文書の発信者探しと処罰をなぜ知事が行なうのか」というアナウンサーの質問にこう答えた。
「誹謗中傷性の高い文書ですので、当事者が調査をしっかりやって事実認定をしていくのは私は問題ないと思います。調査の中でクーデターであったりとか革命とかですね、そういった不穏当な言葉も出てきたので…」(斎藤知事)