国立大学法人法「改正」に「桜を見る会」における公選法違反疑惑

第2に、三代目の世襲は往々にして地べたに這いつくばって努力した経験がなく、世襲として経営トップを引き継ぐことが最大の目標になっている。岸田文雄首相は典型的で、首相になりたいだけで、何をしたいというこだわりがなく、会社の未来に関してはほとんど何も考えておらず、少なくとも思いつき以上のものを表明することができない。

「お家騒動」がある会社だと、何よりも優先的に考えることは、後継者を潰すことである。安倍元首相も岸田首相もその典型である。そして自分を初代より劣っていると、比較されることを嫌い、失敗しても失敗を認めず、謝罪せず、経営方針を変えず、自己正当化ばかりしている。

岸田文雄首相 写真/shutterstock
岸田文雄首相 写真/shutterstock

第3に、「世襲」というのは、公正な選抜基準はなく家柄とか縁故という「私的」な基準なので、公的立場にありながら周囲では極めて「私的」な人間関係が形成される。それゆえ民主主義という統治原理とは相反することがある。

時には、三代目世襲は絶対的支配者のように振る舞うのを好む。そのために、周囲できちんとした意見をする者を排除する。2014〜2015年以降、内閣人事局で忖度官僚だらけにし、放送法解釈変更で批判的な司会者やコメンテーターを徹底的に排除し、日本学術会議の任命拒否や国立大学法人法「改正」で大学や科学者の自治を壊すのである。

さらに行けば、自分のご機嫌をとる者をひいきし、主として金銭関係や許認可関係などの「利益」が与えられる。そのために森友学園の国有地売却事件、国家戦略特区における加計学園の獣医学部の情実認可の疑惑、「桜を見る会」における公選法違反疑惑など公私混同の行為が横行する。三代目世襲経営者は会社の会計などの粉飾を始めると末期症状だが、安倍政権の下では公文書や統計の改ざんが行われてきた。