フワちゃんは“消しゴムマジック”されていない?
「そして3つ目、最後の方法は、映像にエフェクトをかけること。モザイク的な処理もあれば、最近のソフトでは、いわゆる“消しゴムマジック”のように、対象を消すことが可能です。2019年に、映像編集ソフト『After Effects』でそれに似た機能、『コンテンツに応じた塗りつぶし』が実装されました。
ただこのエフェクトは難点が多い。まず、圧倒的に時間がかかります。まったく違和感なく消すとなると、途方もない労力がかかります。映画作品ならともかく、いつも時間に追われているバラエティー番組の現場で、ここまですることはまずないのではないでしょうか。たとえ映画作品でも、後からエフェクトで“消す前提”で撮影した対象者を消すならまだしも、消すつもりがない対象者を後から“やっぱり消す”というのは非常に難しい。“後で消す”場合には、やはりそれなりの撮り方がありますからね。
具体的には、人と人が重ならないように撮影する、カメラを固定、あるいは動かすにしても一定の間隔にして、背景をしっかりキレイに撮影するなど。となると、ロケ番組で動き回るフワちゃんを、この手法で消したとは考えにくいわけです」
Sさんは当時、1分の映像をカット編集するのに、数時間を要していたという。今回放送された『有吉の夏休み』は、約2時間の特別番組のため、「これを編集しろと言われたら、頭を抱えてしまいますね」と苦笑いする。
しかしプロの編集技術と編集ソフトは日々、進化を続けている。リアルタイムで“消しゴムマジック”ができる未来が、すぐそこまでせまっているかもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部