「移動超神田寿司出前500㎞の巻」(ジャンプ・コミックス第160巻収録)
今回は、かまどによる炊飯機器から冷蔵庫、水周り……と、超神田寿司の店と同じ設備に加え、伸縮式の回転寿司レーンまでを装備した「走る寿司店」カーが登場するお話をお届けする。
昨今、寿司職人と食材、中には回転寿司のレーンまで込みでの出張寿司サービスというものが、それほど珍しくなくなった。家庭やホテルのパーティーなどで、その場で職人が握った寿司を食べるのは、食事としてだけでなく、一種のイベントとしても楽しめる。
そこで両さんが考案したのは、超神田寿司の味はもちろん、店の機能そのものを積んだ大型車だ。家の機能を凝縮したキャンピングカーの店舗版とでもいえばよいのだろうか。
そして両さんが向かうのは、廃校になる大阪の小学校。通天閣書の御堂春(ミドウ・ハル)に請われて、老校長と生徒たちを労うための寿司パーティーを開こうというのだ。
準備万端で大阪に出発しようとした両さんに、超神田寿司の女将・夏春都(ゲパルト)は自ら焼いた玉子焼き(ぎょく)を持たせる。実はこの玉子焼き……この先は、本作を読んでお確かめいただきたい。江戸前の味だけでなく、夏春都の江戸っ子の心意気を味わえること間違いなしだ。
近年では、玉子焼きを店で拵える寿司店はずいぶんと少なくなり、多くの場合は購入したものを切って使用している。東京・築地の丸武のように有名な玉子焼き専門店も存在し、市販品を使うのが悪いなんてことはまったくない。
だが、かつては、「玉子焼きで寿司店の腕前がわかる」などといわれていた。砂糖やだしをはじめとした調味料の使い方、焼き加減……と、店ごとの特徴が現れやすいのだという。
また、玉子焼きはさまざまな魚介を食べ進める上での口直しの役割を担い、黄色い色合いが彩りを添えるなど、寿司には欠かせないひと品なのだ。
それでは次のページから、両さんが運ぶ江戸前寿司と江戸っ子の心意気をご堪能ください!!