本記事は2月16日に逝去した叶井俊太郎氏(享年56)の仕事を偲んで再編集・再掲載する。
(初公開日:2023年10月31日。記事は公開日の状況。ご注意ください)
「自分にできることは何でもするよ」って、だったら「100万円くれ!」
――末期がんを告知されてからたくさんインタビューを受けておられますが、やはりマジメな内容のものが多いですか?
マジメな記事にもなってないよね。そもそも末期がんの俺をインタビューすることが間違ってんだって。働かせるなよ。
――いやいや、最後にしっかり稼いでおかないと。
まあ、対談本(『エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論』)も出しちゃうからね。本のリリースと同時に病気の公表をしたんだけど、くらたま(叶井の妻で漫画家の倉田真由美)がコメント出したら、Yahoo!トップになったんだよ。
そしたら小中高の同級生とか、昔、一緒に遊んでいた女とかがSNSで俺を探して、40~50人くらいから連絡がきたわけ(笑)。
――覚えてないぐらいの相手ですか?
ひとりも覚えてない。でも一応こっちも「ご無沙汰です」とか言っちゃって。いま56歳だから、小学校のときの友達なんて、45年前とかのレベルじゃないですか。「6年1組でしたよね」とか言われても、わかんないよ。
だいたい「覚えてる?」とか「体調大丈夫ですか?」とかそういう内容なんだけど、こっちは末期がんを告知してるんだから、大丈夫なわけないんだよ。みんな「自分にできることは何でもするよ」って締めくくってるんだけど、だったら「100万円くれ!」って言ったらくれんのかよってね。
まあ、そういう人たちから、40年ぶりぐらいに連絡がきたのは面白かった。とにかく、Yahoo!トップってすごいんだなと思いました。
――ちなみに、突然「実はあなたの息子です」みたいな人があらわれたりはしなかったですか?
「死ぬまでに会いたいです!」とかね。あったら面白かったけど、さすがになかったよ(笑)。あとはがんに効くオリーブオイルがあるから送りますねとか、ここの病院に行ったほうがいいとか、自分はヒーリングをやってるから手を当てさせてくださいとか、そういうのもたくさんきた。