「生徒が泣いたりうめき声をあげても犯行を続けた」
北村被告は練馬区立中学校校長だった昨年9月、以前勤務していた中学の女子生徒のわいせつ画像を所持していたなどとして児童買春・ポルノ禁止法違反(所持)で逮捕・起訴され、数々の余罪が発覚。
この中で2010年6月当時の教え子であり、顧問を務めていた部活動の部員でもあった当時中学生のAさんに性的暴行を加える動画もあり、東京地検は公訴時効が成立していない準強姦致傷罪を適用して起訴していた。
この事件の初公判は11月20日に開かれ、検察側が冒頭陳述で「立場を利用して抵抗できない状況を作り出し、性行為に及んだ。生徒が泣いたりうめき声をあげても犯行を続けた」と指摘。これに対し弁護側は「被告と生徒は親密な関係で合意があり、性行為でけがを負った証拠もない」などと反論していた。
12月2日は第3回公判で、保釈中の北村被告は濃いグレーのスーツ、深い青のネクタイで入廷。白髪のセンター分けで、教育現場で権勢を振るっていた当時の面影はみじんもない。
冒頭では追加証拠として、Aさんへの賠償として100万円支払ったATMの明細が請求された。民法上は時効だが、「被害者の苦しみは一生続くものです。今できる精一杯の償いとして、賠償をお支払いしました」と100万円という金額の根拠を説明した。
北村被告はAさんへの性暴力を学校の理科室で「マッサージ」と称して行なっていた。これについて裁判員に「『性行為は好きな人同士でするもの』だと生徒に説明していて、被害者とは恋人同士とも思っていたのに、なぜマッサージと言って理科室に連れ込んだのか」と矛盾を突かれた北村被告は「Aさんが受け入れてくれていると思ったので、毎回マッサージの名目で呼び出していました」と噛み合わない返答をした。
別の裁判員は、加害に用いられたソファーベッドがいつ購入されたのか質したが、これについても被告の答えは「定かではありません」と曖昧だった。また、被告はわいせつ行為を録画したビデオで自慰行為をしたと明かし、「警察でそのビデオを見せられ、すごく野獣のようでひどい行為をしていた」と述べた。