「ほとんど家に引きこもってたね。このあたりでは有名だったよ」

進藤さんは妻と長男の3人暮らし。18日朝に買い物に出かけた妻が午後1時ごろ帰宅した際、1階寝室で血まみれで倒れていた進藤さんを発見して110番通報。事件当日、長男は在宅しており、当初は「異変には気づかなかった。父の声も聞いていない」などと話していたが、任意で事情聴取中に容疑が固まったため、逮捕した。同署で動機などを調べている。

進藤藤義さん(93)が血を流して死亡しているのが見つかった自宅(写真/共同通信社)
進藤藤義さん(93)が血を流して死亡しているのが見つかった自宅(写真/共同通信社)
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大仙署の副署長は取材に対し、こう回答した。

「長男は当初『わかりません』の一辺倒でしたが、19日夜になって犯行を認めたため通常逮捕しました。自宅から犯行に使用したとみられる刃物を複数本押収しています。長男は現在無職ですが、供述から過去には何らかの形で仕事をしたことはあるようです。前科前歴については回答を差し控えます。

また、過去にこの家や長男をめぐって警察に相談や通報があったかどうかなどは現在確認中です。(当初はクマに襲われたとの見立てもあったのは)本人がクマの人的被害に見せかけて犯行に及んだわけではなく、現場に駆けつけた救急隊が傷の大きさ、深さでクマによる被害の可能性に言及したからです」(大仙署副署長)

亡くなった進藤さんが研究していた植物・エビネ(PhotoACより)
亡くなった進藤さんが研究していた植物・エビネ(PhotoACより)

亡くなった進藤さんは、秋田県生まれで早稲田大学進学のため上京、都立高校教員として長年勤めるかたわら「エビネ」研究の第一人者としても知られていた。なぜ故郷にUターン後に惨殺されなければならなかったのか。近くに住む70代の女性はこう語る。

「進藤さん一家が約30年前に東京から戻ってきたのは、長男が病気で体調を崩したことが原因だったみたいね。以来長男は仕事にも就かず、たまに自転車で外出しているところを見るぐらいで、ほとんど家に引きこもってたね。このあたりでは有名だったよ」