自己承認欲求が強い人ほど盛んに投稿

最後に話を聞いたのは現在大学4年生のユキさん(仮名・22)だ。ユキさんは1年ほど前からBeRealを始め、投稿頻度は月によってまちまちだというが、まずはユキさんが使い始めたきっかけについて聞いてみた。

「周りの友達がやっているからという理由で、最初は軽いノリでアプリをダウンロードしました。それから私がフォローしている海外のインスタグラマーがBerealの投稿をインスタグラムのストーリーに載せ始めたのを『おしゃれだな』と思ったことで、自分も撮り始めるようになりましたね」

軽いノリで使い始めたと語る、大学4年生のユキさん(仮名)
軽いノリで使い始めたと語る、大学4年生のユキさん(仮名)

ではユキさんは主にどんなときに投稿するのだろう。

「学校で友だちと会っているときや、バイト先が一緒で仲のいい子とシフトが被ったときに撮ることが多いですね。逆に一人でいるときはあまり撮りません。どうしても仲のいい子の近況が知りたい場合は、内カメラを真っ暗にして顔を載せずに投稿することもあります。ちなみに、こうやって自分の顔を載せずに“見る専門”でBeRealを使っている子も結構いますよ」

また、ユキさんによると投稿頻度が高い人は、他のSNSも頻繁に投稿する傾向があるという。

「インスタグラムのストーリーを頻繁に更新したり、投稿を頑張っていたりする子は、毎日のようにアップしている印象です。そういう子は他の人の投稿にリアクションすることが少なく、自己満足で投稿している気がしますね。あとBeRealは何回撮影し直したか他の人にもわかる仕組みなんですが、私のフォローしている人のなかには17回も撮り直している子がいましたね…」

基本的に友だちなど誰かといるときにしか撮らないというユキさん
基本的に友だちなど誰かといるときにしか撮らないというユキさん

昨今のSNSの写真の潮流に反して、無加工が魅力的だと感じているミナミさんの話があったが、なかには自分が納得いくまで“盛れる”写真を撮り続ける人もいるみたいだ。

さらにユキさんの周囲には、まさに“BeReal中毒”になっている人もいるそう。

「通知が来て2分以内に撮ると、追加で2回投稿できる機能があるんです。毎日3回投稿することがチャレンジの一種みたいな感じになっていて、1日でも3回投稿を逃すと悔しいと思う人もいるみたいです」

取材時にもBeRealの通知が…早速スマホを取り出す
取材時にもBeRealの通知が…早速スマホを取り出す

さまざまな機能が「スマホ依存」を引き起こすような原因となっていることがユキさんの話からわかる。またユキさんは、このアプリのヘビーユーザーに対して疑問を感じることもあるそうだ。

「たまに満員電車の中とかで、BeRealを撮っている人たちを見かけるんです。“カシャッ”と大きな音がするので気になるし、いくら親しい人同士でしか投稿を共有しないからといっても、他人が映り込んだ写真を撮るのってどうなんだろうって感じます。もし自分が写っていたら怖いし、正直そういう人たちは使い方をわきまえてほしいなって思います」

――次世代型インスタグラムのようなSNSにハマる若者たちは総じて「通知」という“呪縛”にとらわれているようだった。また気軽に繋がることができるインスタグラムなどのSNSとは違い、親しい友人同士で“内輪ノリ”を楽しむような側面がある。BeRealは若者たちにSNSの新たなおもしろみを与えた一方、スマホへの深刻な依存も引き起こしていることは間違いないだろう。

取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio