議員票が総裁選のカギを握るが党内基盤が弱い高市氏

その後、安倍氏は政権交代によって総理大臣に返り咲き、高市氏を総務大臣などで起用。

保守系議員としてキャリアを積み重ね、2021年総裁選には安倍氏の支援のもとで初めて出馬したが、落選。今回は頼みの綱である安倍氏がすでに凶弾に倒れて亡くなっており、後ろ盾がいない中での苦しい戦いとなっている。

しかも、前回総裁選で高市氏の推薦人に名を連ねた小林鷹之氏が立候補を表明し、そこに若手中堅が流れるという逆風も発生。

小林鷹之氏(本人Facebookより)
小林鷹之氏(本人Facebookより)

また、議員の中には「前回の総裁選で高市氏を応援したが、お礼の連絡が一切なく、今回は応援しないことに決めた」と周囲に不満を打ち明けている者もおり、高市氏の組織づくりの弱さが露呈している。

高市氏自身も組織づくりには課題を感じており、それゆえに昨年から「『日本のチカラ』研究会」という勉強会を開催してきたが、マスコミに具体名が報じられる出席人数は20人に届かない状況が続き、推薦人が集められるか不安視されていた。

その中でも何とか推薦人確保に目途をつけた高市氏だが、党内基盤の弱さは課題として残っている。

自民党総裁選は国会議員が1人1票で合計367票を持つ一方、自民党員約109万人が投票する党員・党友票も同じ367票にまで圧縮されるため、国会議員の持つ票の重みが非常に大きく、選挙戦は議員の仲間をどれだけ集められるかという党内政局が勝負のカギとなってきた。

実際に、2021年総裁選では、発信力の高い河野太郎氏が党員票の獲得では1位となったが、岸田文雄氏が議員票で圧倒。

しかも、岸田氏と河野氏の上位2名による決選投票では議員票はそのままであるのに対して、党員票は都道府県連票(47票)に置き換わる。河野氏が都道府県連票で大半を占める39票を獲得したものの、岸田氏に議員票で逆転される結果となった。