石破氏、茂木氏、河野氏…3者の総裁選への思惑

マスコミ各社の世論調査の「次の首相」ランキングで1位常連の石破氏は、「煮え切らなさ」が際立つ。

「石破氏は7月1日に菅義偉氏、武田良太氏らと会食しましたが、その場で自分から総裁選出馬への協力を求めることはしなかったようです。

石破氏は前回の総裁選前に二階氏と面会したときも、推薦人集めの協力を求めることはせず、二階氏が『石破は何をしに俺に会いにきたんだ』とぼやいたほど。とにかくはっきりしないのです」(全国紙政治部記者)

はっきりしない背景には、石破氏が党内で仲間を失ってきた経緯がある。

「石破氏は麻生政権が低支持率にあえいだときには退陣を求め、安倍政権が森友・加計問題で追及を受けていたときには、安倍氏批判を繰り広げた。その行動は国民から支持されたが、党内からは『背後から矢を射る』と不評を買った。

ラーメンを食べる石破茂氏(本人Facebookより)
ラーメンを食べる石破茂氏(本人Facebookより)
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今回も総裁選への出馬意欲を早々に表に出しすぎて、『岸田政権が苦境のときに、自分が総裁になりたいからと行動している』とみられることを懸念しています。

ですが、同じ党内でも厳しく政権を批判してきたからこその石破氏の国民人気。バランスに苦慮しています」(自民党関係者)

裏金問題をめぐる逆風にあえぐ自民党内からは「衆院選で勝てる総裁を」との声が高まっているため、国民人気の高い石破氏はかつてないチャンスを迎えているが、頼みの綱としたい菅氏は岸田氏から首相の座を奪われて以来、自身も側近議員たちも目立った役職につけず「次こそは絶対に主流派になりたいので、勝てる候補を慎重に見極めている」(菅氏周辺)という状況だ。

一方、首相を支えるはずの幹事長の立場にある茂木敏充氏は「首相になってやりたい仕事がある」と述べるなど、総裁選出馬への意欲を隠さないが…。

「茂木氏はパワハラがひどく人望はない。茂木派の議員も、茂木氏が派閥トップになる前の『平成研』に所属してきたという意識が強く、茂木氏を積極的に支えたいという議員は少ない」(自民党関係者)

河野太郎デジタル相はすでに所属する麻生派トップの麻生太郎副総裁に総裁選出馬の意欲を伝えた。

前回は「小石河連合」を結成し、石破氏や小泉氏の支持を受け、菅氏にも推された河野氏だが、今回は石破氏の出馬が濃厚で、「脱派閥」を掲げる菅氏も派閥を抜けない河野氏と少しずつ距離が生まれているため、戦略の練り直しが必至だ。