日本人ではじめてアメリカに行ったよ!
もうダメかと思ったとき、万次郎たちは島を見つけます。そこは岩がゴツゴツした無人島でした。島に行けば水があるはずだと思った彼らは近づきますが、岩にぶつかって舟はバラバラに! なんとか泳いで島にたどりついたのでした。島では雨水がたまった場所を見つけ、また、島にいるアホウドリをつかまえて食べました。まさに無人島サバイバル生活。これを143日間も続けたんです。
助けてくれたのは、アメリカの捕鯨船ジョン・ハウランド号でした。
当時、日本は鎖国をしており、万次郎たちは外国の人を見たこともなければ言葉もまったくわかりません。でも、万次郎は身ぶり手ぶりをまじえて、一生懸命コミュニケーションをとろうとしました。船長のホイットフィールドさんはそんな万次郎を気に入って、アメリカに連れていくことにしたんです。「ジョン・マン」とは船の名前にちなんでアメリカ人たちがつけた愛称です。
万次郎は日本人ではじめてアメリカを訪れ、教育を受けることになりました。英語はもちろん、測量や航海術なども学び、卒業後は捕鯨船に乗って世界中の海をわたります。
日本に帰ってきたのは24歳のときです。日本は鎖国中でしたが、開国に向けて動きのある時期。万次郎は貴重な存在でした。アメリカで学んだことを日本に伝え、通訳者としても活躍します。
漂流という不幸な出来事の中でも、いつも順応しながら運命を切りひらいてきた万次郎。素直さがあったからこそ、新しいことをどんどん吸収し、唯一無二の存在になったんだろうね。
・出典
『ジョン万次郎 民主主義を伝えた男』小沢章友作 十々夜絵 講談社青い鳥文庫
『海を渡ったサムライ魂 ジョン万次郎』マーギー・プロイス著 金原瑞人訳 集英社文庫
ジョン万次郎資料館ホームページ
文/齋藤孝












