他者からの承認を求めることは人生にとって薬にも毒にもなる…脳科学者が「マウンティングばかりのグループからは抜けなさい」と勧める理由
SNSでつながっている仲間から「いいね」をもらうことは嬉しいもの。それをうまく励みにすることはやる気につながるが、一方でリスクや注意点もある。
脳神経外科医の菅原道仁さんが、人をやる気にさせる「ドーパミン」の力を活用して脳をその気にさせる方法を綴った『すぐやる脳』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
マウンティングばかりのグループからは抜けなさい
「承認欲求には、2種類ある」という説もご紹介しておきましょう。
ひとつは「他人から認められたい」という「他者承認」。
そして、もうひとつは自分自身が自分を認める「自己承認」です。
「他者承認」の方向だけに偏らず、「自分が今の自分に満足している」という「自己承認」の評価軸もきっちりともてばよいのです。
もちろん、「自己承認」に踊らされすぎることもありません。
ドーパミンを出すための味方として、他人からも、自分自身からも適度に「承認を得る」という姿勢が重要です。
注意点も申し上げておきましょう。
「承認欲求がうまく得られない集団」に所属すると、ストレスがたまることがあります。多くの人が「望まないのに帰属せざるをえない集団」にいるのも事実です。
互いに承認欲求を満たし合えている関係であれば、問題はありません。
けれども、そこに君臨する〝ボス〟的な存在に、過剰な気遣いが必要だったり、理不尽で不条理なヒエラルキーが存在していたり、ストレスフルなマウンティングや、格付け合戦が日常的に繰り広げられていたり……。
そのような環境下で承認欲求を満たす、というのはどんな人にとっても至難の業です。反対に「他人の承認欲求を満たす役割」まで、強制的に背負わされかねません。
そのような集団には所属しない、もしくは自分から遠ざかることが賢明です。
どうしても脱退できないのであれば、心理的な距離を置くべきでしょう。
そうしないと心が萎縮して、やる気を出すどころの話ではなくなってしまいます。
文/菅原道仁
2024/8/8
1,540円(税込)
208ページ
ISBN: 978-4763141675
今日も、はじめられなかった人へ
脳をその気にさせる方法、教えます!
【こんな人にオススメ】
・あれこれ考えてなかなかはじめない
・何をやっても長続きしない
・やってみたい事はいろいろある
・成長意欲はある。でも、まだ本気出してない
やせたい、片付けたい、
英語が話せるようになりたい、
スキルアップしたい。
すぐに行動すれば効果が
ありそうなことはわかってるんだけど、
なかなかはじめられない……。
10人いたら9人くらいは
こうやって「先延ばし」にしちゃうし、
強靭なアスリートのような
不屈の闘志を持った1人だけが
「今日から」はじめる。
じゃあ、これは「意志力」の差か
といえばそうではなくて、
人間の脳ってもともとエネルギーを無駄に
使わないようにプログラミングされてるんです。
亀は海の中で手足を引っ込めてスーッと泳ぎます。
これはエネルギーを使わず、波に乗って進むため。
陸に上がったらめちゃくちゃゆっくり歩く。
これもエネルギーを使わないため。
人間も同じで「怠惰」なのではなくて、
エネルギーを消費しないために
「すぐやらない」「動かない」「考えない」
ことで体力を温存しているんです。
脳は取り込んだ酸素のうち20%を使う、
人間にとって最大のエネルギー消費器官なので
休もうとするのは当然なんですね。
じゃあ、どうすれば「すぐやる」かというと
あるホルモンをドバッと分泌させることです。
それが「ドーパミン」です。
仕事でも、家事でも、勉強でも、
「やりだすまで」がなかなか長くないですか?
で、やりだしたらいつの間にか
エンジンがかかってきて
一気にやっちゃうことがあります。
これこそドーパミンの力です。
ドーパミンは「やりだしてから」出る。
これが出るから、さらにやる気になる。
これを「作業興奮」と言ったりします。
だから、とりあえず、あれこれ考えずやりだすと、
「ドーパミン君の力で勝手に体が動きはじめますよ」
というのがこの本です。
それを現役の脳神経外科医が説明してくれるので
信頼性が高く、かつ、簡単な文章なので
短い時間で読めてしまいます。
やったほうがいいのはわかっちゃいるけど
腰が重くてなかなかはじめられない、
という人はぜひ読んでみてください。
【目次より】
序章 脳がそれを拒否する理由
第1章 ドーパミンこそが行動を決める!
第2章 すぐやる
第3章 こまめにやる、早めにやる
第4章 続ける
第5章 決める、選ぶ
第6章 挑戦する
第7章 怒らない