TVプロデューサー佐久間宣行、推しは「ごきげんな時の自分」と決める。それは自分の心が耐えられないことをまず知ること。_1
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心に疼く「面倒くさい」を手なづける

ネガティブな思考グセや自分の弱点に気がついたら、僕はそれらとうまく距離を取って、付き合っていくというステップを踏んできました。

たとえば、僕にはネガティブな口グセがあって、それが「あぁ、面倒くさい!」。口グセといっても、もちろん表には出さずに、できるだけ心の中に留めるようにしています。

日々、どこからともなく湧いてくる「面倒くさい」という感情。それに飲まれてしまうと、再びやる気を出すには、ある程度の時間やエネルギーを要します。だからこそ、コイツ(「面倒くさい」という感情)とうまく折り合いをつけ、上手に飼い慣らすことを覚えました。

僕にとってのベストな打開策は、「小さなごほうびの予定」を作ること。美味しいものを食べに行くことや、映画や演劇といったエンタメに触れることを、忙殺の山を抜けそうなタイミングにあらかじめブッキングしておくのです。

仕事が立て込んできて「面倒くさい」が発動し始めたら、すかさずごほうびがあることを思い出し、自分で自分の機嫌をとるようにしています。

ちなみに、僕は自分の記憶を一切信用していません。仕事の可視化とうっかりミスを防ぐため、スケジュール管理はすべてGoogleカレンダーにアウトソーシングする派。収録・取材は赤色、打ち合わせと会議は青色、企画の考案や原稿の執筆はオレンジ。そして、映画の公開や舞台の公演などプライベート色の強いごほうびは緑色で色分け。

ぱっと見て、Googleカレンダーが仕事関連の赤色、青色、オレンジで埋め尽くされたら、危険信号。そのうち「面倒くさい」がひょっこり顔を出します。ネガティブスパイラルの根源を断ち切るためにも、すかさず緑色のごほうびゾーンを無理矢理にでも作っています。

大好きな仕事でも、やりがいがあるプロジェクトでも、そしてどんなに仕事がデキる人でも、生活が「やらなければならないこと」で埋め尽くされると、気分は沈んでしまう。結果、何のために働いているのか分からなくなってしまいます。

だからこそ色分けされたGoogleカレンダーで己の状態を予見し、そうならないために自分を釣る。スケジュールの中に、映画、舞台、サウナと銭湯などなど、小さなごほうびを海のブイのごとく浮かべ、気分をホクホクさせておくのです。

そしてこの「面倒くさい」には、もう一つ対応策があります。それは時々ちゃんと口に出す、ということ。この場合、あまり深刻に受け止めない人に聞いてもらうのがいいと思っていて、僕にとってその相手が妻。

口に出しながら自宅でグズグズしていると、「さっさとやりなさい!」「とっとと出かけなさい!」と、エールを送られる、というか尻を叩かれる。そんな日々です。