「活字離れ」よりも「書き離れ」を危険視

昨今問題視されている“活字離れ”について、日本漢字能力検定協会は「多くの人が紙媒体からは離れていっているが、文字に触れる機会自体はデジタル媒体の活用により変わっていない」と捉えているようだ。

加えて、「世の中で問題視されているほど活字離れを意識することはない」と佐藤さん。その一方で、“文字を書く”機会は確実に減少傾向にあると感じているという。

「書く機会がないので、なんとなくで漢字を覚えてしまっていて、いざ書こうというときに正しく書けなかったり、正しく読めなかったりする人が増えていると感じます。実際、2006年と2016年の受検結果を参考に京都大学と共同で行った調査では、若い世代の“書字(書き)能力”の発達低下が見られました」

2023年度に実施された漢検の検定問題(上段が読み問題)
2023年度に実施された漢検の検定問題(上段が読み問題)

これは、スマホの普及やSNSなどデジタル化の発展の影響により低下したと考えられており、日本漢字能力検定協会も問題意識を持っているとのこと。「書く機会を増やすためにも、漢検への興味関心を深めてもらえるような活動をしていきたい」と語った。

ちなみに、「漢字を書く能力が高い人ほど文章能力が高い」という趣旨のデータもあり、手書きの有用性は高く、アルツハイマー病の予防にも有効なのではないかといわれているそう。

現在はその試験中で、漢字と認知能力の関わりを研究しているのだとか。

漢検では多様な書き問題が出題されている
漢検では多様な書き問題が出題されている