「みんなと同じ」を求めるニーズ
世界的に過熱していたスニーカーブームが落ち着きを見せ、多くのスニーカーブランドが苦境に面している。
それは、スニーカー業界のトップに君臨するナイキも同様で、2024年3~5月期の世界での売上高は126億600万ドル(約2兆円)で、前年同期比2%減になっている。
ただ、その内訳を見てみると、北米や欧州エリアで落ち込んでいるのに対して、日本や中国などのアジアエリアではじつは堅調に売上を伸ばし続けている。
ナイキの日本での人気の高さは依然として群を抜いている。日本最大のスニーカー売買アプリ「スニダン(SNKRDUNK)」の2023年ランキング※1では、トップ3はいずれも、ナイキの定番スニーカー「エアジョーダン1」と「エアフォース1」の限定モデルである。
トップ30のうち、ナイキ以外のブランドは2つだけで、じつに28をナイキのスニーカーが独占している。スニダンでは限定モデルの高額売買が行われやすく、限定モデルの販売の多いナイキがランクインしやすい点はあるが、ナイキのスニーカーの人気が今なお飛び抜けて高いことは確かだ。
ナイキが日本で高い人気を集めている秘訣には、消費者が持っている二種類のニーズを気持ちよく満足させるマーケティング戦略の存在がある。
この二種類のニーズとは、「みんなと同じ」を求めるニーズと、「自分らしさ」を求めるニーズだ。