定番が人気を博す日本人の文化的自己観

私たちは誰もが母国の文化の影響を受けながら、自分自身について考えたり、物事の良し悪しを判断する基準を無意識に作っている。これは「文化的自己観」と呼ばれる概念で、ある文化で生きる人々には、考えや価値観、行動における暗黙のルールが刷り込まれていく。

日本の文化的自己観の特徴として、自分自身を周囲の人々と繋がる関係の一部として捉えて、人間関係の中で自分を定義する傾向がある。

その結果、日本の人々は、個人としての「自分らしさ」よりも、周囲の人々との関係の中での自分、社会の中での自分といった「みんなの中での自分の見え方」を重視しやすいという特徴を持っている。

ちなみに、日本とは対照的とされる欧米では、自分自身を周囲との関係から切り離し、独立した存在として捉えて、自分の個性や好み、能力などによって「自分らしさ」を定義し、協調性よりも独自性を重視しやすい傾向にある。

職場の中、学校の中、友人関係の中など、「集団の一員の自分」として物事を判断し、周囲の人から見て「変じゃないように」「悪目立ちしないように」と、みんなが好きと言っているモノを好む傾向が強い。

だから日本では「定番」が人気を集めやすいのだ。定番とは、過去に多くの人が好んで選び、買って、みんなが認めていて、周りから高く評価されやすいものである。

連日多くの人で賑わうNike Harajuku
連日多くの人で賑わうNike Harajuku

ナイキの「エアフォース1」は、1982年にバスケットボール用のシューズとして誕生し、それ以来40年以上にわたって人気を集め続けている超定番スニーカーだ。

マイケル・ジョーダンのNBAデビューと共に誕生した「エアジョーダン1」の誕生も1985年で、長い歴史を超えて今なお「スニーカーの王様」と呼ばれるド定番である。

こうした定番スニーカーは、「みんなと同じ」を求めるニーズの大きな日本において、飽きられることなく、受け入れられ続けているのだ。