留守番電話に殺害予告が残っていた

会見は逆効果だった。石丸氏は「個人情報なので中身を確認せずそのままシュレッダーにかけた」と地元メディアの取材に話していたが、支持者には武岡氏があくまで「抵抗勢力」と映ったようだ。以降、深刻な嫌がらせが相次ぐようになった。

「会見後から武岡議員の自宅には昼夜問わず、誹謗中傷や脅しのような電話がかかってくるようになりました。『さっさと議員をやめろ』『死ね』といった内容のものから無言のものまで様々な電話が夜中の1時2時にもお構いなくかかってきて、武岡さんは日に日にやつれて元気をなくしていきました。

奥さんもこういう電話に対応しているうちに寝こむようになったそうです。そのうち頼んでもいない商品が自宅に届くような嫌がらせも続き、留守番電話に『殺すぞ』と録音が残っていたときには、さすがに警察に相談に行きました」

安芸高田市役所(撮影/集英社オンライン)
安芸高田市役所(撮影/集英社オンライン)

警察は脅迫音声を残した本人を特定して警告したが、武岡氏は処罰感情を表さず、事件化されなかったようだ。

「脅迫した本人が『もう二度とやらないから勘弁してほしい』と泣きを入れたそうで、警察がそれを武岡氏に伝えたところ『本人がもうやらんと言っているならそれでいい』と終わりにしたんです。

でも誹謗中傷の嫌がらせ電話はその後も終わることがありませんでした。とにかく石丸氏が何かを発信するたびに、この問題が再燃して嫌がらせもひどくなった。

タチが悪いことに石丸氏は根も葉もないことを平気で言うんです。2021年の8月の豪雨で多治比川が氾濫した際、浸水被害にあった現地を視察した武岡市議が『たいしたことないの』と発言したと石丸氏は議会で発言すると、またたく間にSNSで拡散されました。

そもそも多治比というのは武岡さんの地元ですよ。本人も『そんなこと言っとらん』と憤慨していました」

議会で憤慨した故・武岡氏(安芸高田市議会YouTubeより)
議会で憤慨した故・武岡氏(安芸高田市議会YouTubeより)

そんなことが繰り返され、武岡氏は心身のバランスを崩していった。それでも自宅には監視カメラを設置して外出先からも確認できるように対策を講じ、市議としての職務を全うしようと努めていたという。

「監視カメラを付けたのは、自宅にも何かイタズラをされたからだと思いますよ。とにかくどんどん体調が悪くなっていったのに、本人は無理して市民の意見を聞くための地域懇談会にも顔を出していました。

私が『無理するな。体を治すのを先にせえ』と忠告しても『また(市長に)何書かれるかわかったもんじゃないから』と出席していました。去年の冬にはかなり体も辛そうで、何かを食べるとすぐにトイレに行って吐き戻すようになったんです」